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老人ホーム徹底ガイド
介護サービスを利用する際には、要介護1以上の認定が必要です。
今回は要支援状態との違いや、要介護1の概要と利用できるサービスについて詳しく解説します。
要介護1とは、要介護状態の中で、最も介護の必要性が低い要介護度です。食事や排泄などの生活動作は自分で行えるものの、立ち上がりや歩行、整容や整頓等に介助が必要で、理解力の低下や問題行動等が見られることがあります。
厚生労働省によると、2018年時点の全国の要介護認定者数は約658万人で、そのうち要介護1の認定者数は約132万人とされています。
参考:介護や支援が必要な人はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター
要介護認定とは、対象者が「要介護状態」もしくは「要支援状態」にあるかどうかを客観的に判断し、段階別に分けたものです。「自立状態」、「要支援1」、「要支援2」、「要介護1~5」の8段階があります。
・要介護状態:身体上、または精神上の障害があり、生活の一部、もしくは全面的に介助が必要 ・要支援状態:身体上または精神上に障害があり、生活の一部について介助が必要 |
要支援状態の中には、必要な介護を行うことで後に要介護状態になることを防ぐことができるケースもあります。
では、実際にどのような状態で、どの要介護度だと判断されるのでしょうか。以下で要介護ごとの認定の目安と状態の具体例をまとめました。
要介護度 | 要介護認定の目安 | 対象者の状態の具体例 |
---|---|---|
要支援1・2 | 日常生活の動作をほぼ行うことができるが、現在の状態を維持するために少し支援が必要な状態 | 入浴や食事などは自分で行うことができるが、掃除などを一人で行うことができない。 |
要介護1 | 要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態 | ・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話に見守りや手助けが必要。 ・立ち上がりや片足での立位保持などには支えが必要。 ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に支えが必要なことがある。 ・排泄や食事はほとんど自分で行える。 ・混乱や理解の低下がみられることがある。 |
要介護2 | 要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態 | ・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話の全般に見守りや手助けが必要。 ・立ち上がりや片足での立位保持などには支えが必要。 ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えが必要。 ・排泄や食事に見守りや手助けが必要なことがある。 ・混乱や理解低下がみられることがある。 |
要介護3 | 要介護2の状態と比較して、日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態 | ・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話が自分ひとりで行えない。 ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりで行えない。 ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分で行えないことがある。 ・排泄が自分ひとりで行えない。 ・いくつかの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。 |
要介護4 | 要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態 | ・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話がほとんど行えない。 ・立ち上がりや片足での立位保持などがほとんど行えない。 ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりでは行えない。 ・排泄がほとんど行えない。 ・多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。 |
要介護5 | 要介護4の状態よりさらに動作能力が低下しており、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態 | ・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話が行えない。 ・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が行えない。 ・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が行えない。 ・排泄や食事が行えない。 ・多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。 |
このように、要介護度によって必要な介護の量が異なることがわかります。
では、実際に要介護認定がどのように行われているのかを見ていきましょう。
要介護度の判定は、厚生労働省が定める「要介護認定基準時間」によって判断されます。要介護認定基準時間とは、介護に要する時間をコンピューターにより概算したものです。
■要介護度ごとの要介護認定基準時間
要介護度 | 要介護認定基準時間 |
---|---|
自立 | 25分未満 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 要介護1 | 32分以上50分未満 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
要支援2と要介護1の要介護認定基準時間は同じなので、要介護認定基準時間以外の要素で区別されます。また、実際の認定は要介護認定基準時間だけではなく、他にも細かい基準が定められています。詳しい認定基準については市区町村やケアマネージャー等へお問い合わせください。
ここまでで、要介護1がどのような状態か、また「要介護度」とは何かお伝えしてきました。要介護度の見直し時の状態によっては、要介護1から要支援2に介護度が下がることもあります。
ここでは、要介護1と他の要介護度の違いについて説明していきます。
要介護1と要支援2の要介護認定基準時間は同じです。2つの要介護度を区別するポイントは2つあります。
まず1つ目は、対象者が介護保険による予防給付の利用について理解ができるかどうかです。理解力や思考力が低下していないか、認知症になっていないかが見られます。理解ができれば要支援1、理解できなければ要介護1となります。
2つ目は、今後半年以内に心身状態に変化がみられ、要介護度が上がる可能性があるかどうかです。可能性があるとされた場合には要介護1と判定されます。
要介護1と要介護2の違いは、介護の必要度です。それぞれの状態については以下の通りです。
要介護1 | 片足での立位、日常の意思決定 、買い物が困難等、生活の一部に介護が必要な状態。 |
---|---|
要介護2 | 歩行 や洗身 、つめ切り、薬の内服、金銭の管理 、簡単な調理が困難等、生活全般で介護が必要な状態。 |
このように、要介護1と要介護2では介護の領域に違いがあります。要介護2は要介護1に比べ、生活全般の介護が必要となります。
要介護1と認定されると、多くの介護サービスを利用することができるようになります。実際にどのようなサービスを受けることができるのか、内容を見ていきましょう。
要介護1では訪問介護、通所介護、施設への短期入所、施設への入居、小規模施設への入居、福祉用具の貸出など、多くのサービスを利用することができます。また、これらのサービスを組み合わせて利用する人もいます。
訪問 | 訪問介護(ホームヘルプ) 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリ 夜間対応型訪問介護 定期巡回・順次対応型訪問介護看護 |
---|---|
施設 | 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ 地域密着型通所介護 療養通所介護 認知症対応型通所介護 |
訪問・通い・宿泊 | 小規模多機能居宅介護 介護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
介護施設等 | 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 介護老人保健施設(老健) 介護療養型医療施設 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等) 介護医療院 |
短期間の宿泊 | 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護 |
地域密着型サービス | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 |
福祉用具 | 福祉用具貸与 特定福祉用具販売 |
参考元:https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/
要介護者には、それぞれの要介護度別に 「区分支給限度額」 が定められています。
区分支給限度額とは介護保険から給付される保険金のことで、要介護度や地域によって額が異なります。基本的に「1単位=10円」で計算します。
以下、目黒区を例に見ていきましょう。
要介護状態区分 | 区分支給限度額 | 【基準】サービス利用にかかる費用 | 【目黒区】サービス利用にかかる費用 |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 | 57,364円 |
要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 | 120,053円 |
要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 | 191,121円 |
要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 | 224,637円 |
要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 | 308,347円 |
要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 | 352,693円 |
要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 | 412,873円 |
※2021年11月現在、目黒区含む東京23区は地域区分の一番高い「1級地」とされています。
上記表のように「基準」と「目黒区」では支給限度額に差があります。介護保険には「地域区分」というものがあり、市町村によって金額に差が出るような仕組みとなっています。
地域により、1単位あたりの金額が異なるので、注意が必要です。また、各サービスも地域区分による金額差があります。
要介護1の認定を受けると、手すり、歩行器、歩行補助杖、スロープの福祉用具のレンタルをすることができます。
こちらも1~3割を自己負担することで、介護保険によって支給金を利用できます。医師が認めた場合には、この4点以外の福祉用具のレンタルも可能です。
要介護1の場合、上記の様々なサービスを組み合わせて利用する例が多く見られます。
例えば、住み慣れた自宅で安心して生活をするために、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、福祉用具貸与等を組み合わせると、介護、医療、リハビリまでを網羅したうえで、自宅で介護をする家族の負担を減らすことができます。この場合のサービス利用料は支給額を差し引いて2万円ほどです。
サービスの利用例は本人の身体の状態や環境等、状況によって様々であり、通所介護と通所リハビリテーションのみの利用もあります。
要介護1で利用できる介護サービスは上記のように様々です。しかし、介護に関する知識のない方が最適な介護サービスを探すのはとても大変です。
ロイヤル介護なら要介護度が低い方や、自立状態から今後の介護度に合わせて施設への入居を検討しているという方でも、長期的な目線でご提案することが可能です。
また、ロイヤル介護では無料相談を受け付けています。東京、神奈川、埼玉の店舗で相談員によるご対面での提案も、オンラインでのご相談も可能です。
要介護1は食事や排泄など、基本的な生活は自分で行うことができるものの、立ち上がりや歩行、整容や整頓等に簡単な手助けが必要な状態です。場合によってはまた理解力の低下や問題行動等が見られることもあります。一人ひとりに合わせた介護サービスを選ぶことが重要です。
専門家の意見を取り入れながら、適切な介護サービスを利用しましょう。
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