今回は「介護の認定を受けている親を地方から自宅に呼び寄せる時の注意点」です。

事例を交えながら藪内先生にお話しいただきます。

注意点１：住民票の「異動日」

髙橋）先日、会社に勤めている50代男性から、札幌市に住む81歳の母親を横浜市の自宅に呼び寄せることになったのですが、親が介護サービスを利用しているのでどうしたらいいですか？と相談を受けました。介護認定を受けている親を自宅に呼び寄せる際に気を付けること何かありますか？

藪内）まず、介護認定を受けている親を地方から呼び寄せる時に気を付けていただきたいのは、住民票の「異動日」です。

介護認定を受けている場合、転入日から14日以内に介護認定の引継ぎを行わないと介護認定が途切れてしまい、介護保険が適用にならなくなることがあります。

髙橋）たしか、「異動日」をいつにするのかを、転入手続きの際に考えなければいけないのですよね！詳しくはこちらをご覧ください。

[参考動画]
【注意】住民票を老人ホームに異動する時の注意点や必要な手続き

【住民票②】住民票の異動で介護サービス費用が全額自費にならない為の注意点

注意点２：同一世帯？世帯分離？

藪内）次に、同一世帯にするかどうかですが、基本的に「世帯分離」をすることをお勧めします。

特に、お母様が非課税の場合、課税者であるお子様と同一世帯になると、お母様も課税世帯の一員となり、医療や介護の軽減が受けられなくなるからです。

髙橋）「世帯分離」とは子供とは同じ住所に住んでいても、住民票上は別世帯で、お母様も世帯主になるということですよね。

詳しくはこちらをご覧ください。

[参考動画]
【5分でわかる】介護保険料は安くなる？世帯分離のメリット・デメリット 

注意点３：「健康保険の扶養」と「税金の扶養」

髙橋）ちなみに、同居することによって、「扶養」の手続きはどうなるでしょうか？

藪内）「扶養」には「健康保険の扶養」と「税金の扶養」があります。
要件が全く違うのですが、混同して考えてしまう方がたくさんいらっしゃるので、「健康保険の扶養」と「税金の扶養」の違いはこちらをご覧ください。

[参考動画]
【必見】健康保険の扶養に入れていなくても、税金の扶養に入れられる？

まず、お母様は75歳を超えているので、「健康保険の扶養」にいれることはできません。

75歳になると誰もが後期高齢者医療保険制度に移行しますので、すでに75歳を過ぎている方は「健康保険の扶養」は考える必要がないということです。

髙橋）そうなんですね。では「税金の扶養」はどうですか？

藪内）このお子様がこれまでもお母様を「税金の扶養」に入れていたとしても、これまでは別居でしたので「老人扶養」を申告していたことになります。70歳以上の親と同居することになれば、「同居老親」という控除が取れますので、これまでより所得税で10万円、住民税で7万円、控除額が増えることになります。

髙橋）「同居老親」は「世帯分離」をしても申告できるんですか？

藪内）はい。税法上の扶養は実態で判断しますので、同居していれば世帯分離をしていても「同居老親」が申告できます。なので、同居した年の年末調整や確定申告で手続きしてください。

注意点４：障害者控除対象者認定書

髙橋）お母様が要介護認定を受けている場合、「障害者控除」も申告できる可能性があると思いますが、それはどうすればいいですか？

藪内）お母様が役所で「障害者控除対象者認定書」を取得できれば、お子様が「高齢の親を扶養している」のではなく「障害を持った高齢の親を扶養している」として、お子様がお母様の障害者控除も申告できるようになります

[参考動画]
【必見】要介護認定を受けたら障害者控除も申告しよう！

髙橋）「障害者控除対象者認定書」の手続きは横浜市でできるのですか？

藪内）「障害者控除対象者認定書」は年末時点で要介護認定を受けている市区町村でないと発行できません。

今回、転入した年以降は横浜市で申請できますが、転入より前の年の分は札幌市で申請することになります。今回の動画で障害者控除対象者認定書について初めて知ったという方は、過去5年分は認定書も遡及して申請できますので、住民票所在地に申請してみてください。

髙橋）全国どこの市区町村でも申請できるのかと思っていました。

まとめ

髙橋）介護の認定を受けている親を地方から自宅に呼び寄せる時に一番気を付けたいのは、「住民票の異動日」ですね！

施設に呼び寄せた場合も気になるので次回にでも教えていただきたいと思います。

～ ゆるっとかいご　説明 ～

介護する家族を応援する介護情報チャンネルです。介護にかかる費用や、介護施設、認知症、相続のことなどを、はじめての方にも分かりやすくお伝えします！