今回は「高額医療・高額介護合算制度」です。

高額医療・高額介護合算制度について、元行政職員の藪内祐子さんにお話ししていただきます。

高額医療・高額介護合算制度について

「高額医療・高額介護合算制度」とは
介護保険サービスの利用料や医療費が高額になった場合に、年間の利用料や医療費をそれぞれ合算して戻ってくる制度です。

高額介護サービス費や高額医療費との違い

髙橋）具体的にはどういう制度ですか？

藪内）1ヶ月にかかった介護保険の自己負担額が高額になった場合は「高額介護サービス費」が、医療保険の自己負担額が高額になった場合は「高額療養費」が、申請によりそれぞれ支給されています。これらの制度は、月ごとに自己負担額を抑えられるのが特徴です。

【具体例で解説】高額医療・高額介護合算制度

藪内）例えば、高額介護サービス費も高額療養費も１ヶ月の自己負担限度額が44,400円だった場合、それを超えた分は月ごとに戻って来ますが、それでも44,400円という自己負担は残りますよね。その自己負担額を合計して、1年間で一定額を超えた場合に、さらに還付しましょうというのが合算制度です。

髙橋）ということうは・・・・？？

藪内）極端な例ですが、親が75歳以上の後期高齢者で、夫婦で介護費も医療費も毎月44,400円を超えて支払っている場合、

高額介護サービス費　44,400円×12ヶ月＝532,800円

高額療養費　44,400円×12ヶ月＝532,800円

合計　1,065,600円　負担していることになります。

この世帯の高額合算制度の限度額が67万円だとすると、約40万円が還付されるということです。

髙橋）それは大きいですね！

「高額療養費」や「高額介護サービス費」を利用しても、自己負担額が発生しますから、それぞれを合算して年間の支払額での救済がさらにあるのは嬉しいですね。

申請の期間・申請の時期

髙橋）1年間というのは、いつからいつまでですか？

藪内）毎年8月から翌年7月の1年間で、世帯内の医療保険と介護保険の自己負担額を合算して判定します。

髙橋）8月からなのですね。
これはいつ申請すればいいのですか？
それに、1年間の自己負担額が限度額を超えているかどうかなんて把握できない方が多いと思います。

藪内）支給の対象になると思われる人には、12月くらいに申請の案内が各医療保険者から送付されますので、申請書が届いてからの手続きになります。

申請書が届くのは、7月31日の基準日現在で国民健康保険または後期高齢者医療保険に加入している人になります。

髙橋）申請書が届くのは安心ですね。

申請漏れに注意する人

藪内）でも、8月～翌年7月の1年間に、

• 被用者保険または国民健康保険から、75歳になるなどして後期高齢者医療保険に移った人
• 市区町村をまたいで引越しした人
• 被用者保険から国民健康保険に移った人、又は被用者保険に加入している人

については、申請の案内がされない場合があります。

髙橋）その場合はどうしたらいいのでしょうか？

藪内）該当すると思う場合は、7月31日時点で加入している医療保険の保険者に相談してください。

髙橋）健康保険証に書いてある連絡先でいいのですね！

非課税世帯のメリット

髙橋）ところで、所得区分を見ると、やっぱり非課税世帯は負担限度額が低く設定されていますね。

藪内）はい。
他の軽減制度でも言えることですが、非課税世帯であれば、還付される額も大きくなるため、控除の申告や住民票の手続きをきちんとすることが大切です。

〔参考〕

➤【必見】健康保険の扶養に入れていなくても、税金の扶養に入れられる？

➤【5分でわかる】介護保険料は安くなる？世帯分離のメリット・デメリット

➤【必見】要介護認定を受けたら障害者控除も申告しよう！

➤ 寡婦控除の申請漏れしてませんか？！(働いていたお母さま編)

まとめ

髙橋）ご両親が入院した、介護保険サービスをたくさん利用しているなど、該当しそうだなと思われる方は、実家に帰った際に確認してみましょう！

次回は子供が同居している世帯の場合はどうなるか、具体的な事例を交えながらお話しいただきます。

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