今回のテーマは「遺言執行者」です。

遺言を書く際には必ず、押さえておきたい遺言執行者。今回も相続案件を多数扱ってきた実績豊富な司法書士の村山先生にお越しいただき、予備的遺言について教えてもらいました。

遺言執行者とは

村山）遺言執行者とは、遺言書に書いてある通りに相続の手続きをしてくれる人です。

例えば、銀行でお金をおろしたり、不動産の名義変更の手続きをしてくれたりする人です。

永井）遺言執行者は司法書士など専門家でないとダメですか？

村山）そうではありません。専門家に頼むのも一つの手段ですが、一般の方でも問題はありません。財産を渡したい人を遺言執行者に指定することが多いです。

髙橋）遺言書に遺言執行者を書かなかった場合はどうなのですか？

村山）遺言書に遺言執行者を書かなかった場合でも遺言自体は無効になりません。金融機関の「相続手続き案内」では、「遺言執行者がいる場合」と「遺言執行者がいない場合」とで必要書類が分かれています。

遺言執行者を定めておくことのメリット

永井）遺言執行者を書くメリットは何ですか？

村山）遺言執行者が書いてある場合は、遺言執行者一人の印鑑証明書で色々な手続きがでるので手続きのスピードが上がります。

書いてない場合は、相続人全員の印鑑証明書を集めて手続きをしていくことになるので手間と時間がかかることになります。

例えば、高橋さんの場合、財産を渡したいと考えているパートナーを遺言執行者にしておくのも良いと思います。

髙橋）それでいいのですね！ただ、財産を渡したい方が自分より先に亡くなった場合、遺言執行者もできなくなってしまうと思うのですが。

村山）パートナーが自分より先にお亡くなりになった場合は遺言執行もできないので、遺言執行者としても予備的にもう一人いれておく方がいいかもしれませんね。

〔参考〕
➤【プロが教える】遺言書の書き方（予備的遺言とは？）

遺言執行者に選ばれたら

髙橋）遺言執行者に選ばれた方が忙しかったり、病気になったりして手続きができない場合はどうなるのですか？

村山）そういう場合は、遺言執行者の仕事そのものを、専門家に依頼することができます。

遺言執行者というのは、自分でその仕事をしなければいけないのが原則だったのですが、2019年の7月に法律改正がありその原則が変わりました。自分でやらなければいけなかったのが、第三者にいらいしてもよくなりましたので安心してください。

髙橋）選ばれた方が負担になることはないのですね。

■遺言執行者がいないとできない手続き

村山）遺言執行者がいないとできない手続きがあります。例えば、子供の認知です。遺言書で「子供を認知する」という手続きをすることができるのですが、この手続きは必ず遺言執行者が行わないといけません。他にもいくつかありますが、特殊な例は専門家に相談してください。

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