今回のテーマは「 死後事務委任契約 」です。

「 死後事務委任契約 」とは何か、どんなことができるかを司法書士 村山先生にお話いただきます。

死後事務委任契約とは

村山）おひとりさまの場合、葬儀や納骨をどうしたらいいのかということを悩まれているケースが非常に多いです。

「死後事務委任契約」とは、自分が死亡した後の葬儀や納骨のことを誰かにお願いしておく契約です。

髙橋）「遺言書」ではできないのですか？

村山）できません。葬儀や納骨については「遺言書」に書いたとしても法的効力がありません。

髙橋）葬儀や納骨については「死後事務委任契約」が必要なのですね。

死後事務委任契約の内容・具体例

村山）他にも「死後事務委任契約」ではこのようなことが頼めます。

　　１）行政官庁などへの届け出

　　２）葬儀、納骨、埋葬に関する事務

　　３）遺品の整理

　　４）病院や施設の支払い

　　５）水道光熱費の解約　　など、遺産の分配以外の部分です。

死後事務委任契約を誰にお願いしたらいいか

髙橋）この「死後事務委任」は、誰に頼めばいいですか？

村山）死後事務を頼む相手、つまり受任者は司法書士、行政書士、弁護士、NPOや企業などです。特に決まりはありません。

髙橋）親戚や友人でもいいのでしょうか。　

村山）親戚や友人でも大丈夫です。ただし注意点があるので、最後にお話します。

死後事務委任契約の費用

髙橋）死後事務を専門家などにお願いする場合、費用はどのぐらいかかるのですか？

村山）頼む内容により費用が変わります。納骨や葬儀のほかにも、遺品整理など、頼むことが増えれば、それだけ費用がかさみます。

目安として30万～50万円程度です。

髙橋）契約書の作成はどこに頼むのでしょうか？

村山）「死後事務委任契約書」の作成を専門家にお願いする場合は、司法書士や行政書士などがいいと思います。作成費用は10万円前後です。

髙橋）契約する時期はいつ頃がいいのでしょうか？

村山）判断能力がなくなると、契約そのものができなくなります。おひとり様の場合は、思い立ったときに検討しましょう。

髙橋）よくわかりました。

死後事務委任契約の注意点

髙橋）ところで、先ほどの親戚や友人に頼む場合の注意点とは何ですか？

村山）親戚や友人などに頼む場合、公正証書（※）で死後事務委任契約を結んでおくことをオススメします。なぜなら、私文書の契約書では信憑性が薄いと判断される可能性があるからです。

※公正証書とは、公証人が作成した、法的な効力を持つ文書のこと

髙橋）それはどういうことですか？

村山）例えば、役所への手続きを行う際、私文書だとスムーズに手続きが進まないリスクがある、という意味です。

髙橋）それはそうですね。

まとめ

村山）死後事務委任でできることは、「遺産の分配」以外になるので、おひとり様が「死後事務委任」を契約する場合、遺言書とセットにすることをおススメします。

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