今回のテーマは「法定後見制度と任意後見制度の違い」です。

それぞれの特徴について分かりやすく村山先生にお話しいただきます。

法定後見制度と任意後見制度の違い

法定後見制度の特徴

村山）「法定後見制度と任意後見制度の違い」は、後見人を自由に決められるかどうか、という点です。具体的にそれぞれの特徴をお伝えすると

「法定後見制度」は、本人の判断能力がすでに低下している場合に利用されます。

例えば、認知症などで、財産管理や契約などが自分で難しい場合、家庭裁判所に申立てをすることで、後見人が選ばれます。

「法定後見」の特徴は、誰を後見人にするのか、最終決定をするのが「家庭裁判所の裁判官」という点です。

つまり、本人や家族が希望する人が必ず選ばれるとは限らない、ということです。場合によっては家族ではなく、弁護士や司法書士など第三者が選ばれることがあります。

髙橋）弁護士や司法書士など第三者が選ばれた場合は、月々お金がかかるのでしょうか？

村山）はい、弁護士や司法書士など第三者が後見人になった場合、１年ごとに報酬を支払います。この報酬は、ご本人の通帳から支払われるので、家族が直接負担することはありません。

金額は、家庭裁判所が後見人の仕事内容に応じて決めますが、平均的には年間30万円ほどと言われています。

また、法定後見制度は、ご本人の判断能力が回復するまでやめることができません（2024年現在）。そのため、報酬の支払いは、ご本人が亡くなるまで毎年続くことになります。

髙橋）後見人に家族がなった場合と、第三者がなった場合で、かかる費用にかなり違いがでてきそうですよね。

村山）はい、そうです。

任意後見制度の特徴

村山）次に「任意後見制度」についてお話しします。

「任意後見」の特徴は、後見人、支援内容、報酬額を自由に決められる点です。

この制度は、本人が元気なうちに、将来の後見人を選び、支援内容を契約しておくしくみです。

任意後見契約を結んでも、判断能力がある間は後見人の出番はありません。
この段階では、選ばれた人は「任意後見受任者」と呼ばれます。

判断能力が低下したら、医師の診断書を家庭裁判所に提出して、「任意後見人」として正式に活動を開始します。その際、家庭裁判所が必ず「任意後見監督人」を選び、後見人の支援を監督します。

任意後見監督人

髙橋）「任意後見監督人」という人は、だれがなるのですか

村山）弁護士や司法書士です。基本的に、家庭裁判所が適任者を選びます。

髙橋）「任意後見監督人」は費用がかかるのですか？

村山）はい、報酬が発生します。「任意後見監督人」の報酬は家庭裁判所が1年ごとに決定します。年間12万～20万円程度が目安です。

「任意後見人」と「任意後見監督人」はセットなので、「任意後見監督人」は必ずつきます。「任意後見監督人」の役割はあくまで任意後見人の活動を見守るサポート役です。通帳管理や財産の管理を行うのは任意後見人です。

報酬を簡単にまとめると、「任意後見人」への報酬は契約で自由に決められますが、「任意後見監督人」への報酬は家庭裁判所が決める、という仕組みになっています。

➤ 成年後見制度「任意後見」をわかりやすく解説

まとめ

髙橋）なるほど、「法定後見」「任意後見」のそれぞれの特徴がわかりました。

私だったら、会ったこともない弁護士などにお金の使い方などを決められるのは嫌なので、自分の意思で決められる任意後見人のほうが私には合っているかもしれないです。

村山）「任意後見」を使う方には、よっちゃんと同じような考えの方が多いですね。

どちらの制度も本人の生活を守るためのものです。でも、できるだけ自分の希望を反映したい場合は、元気なうちに契約内容を決められる任意後見契約がおすすめです。迷ったときは、専門家に相談してください！

髙橋）「法定後見」と「任意後見」それぞれの特徴をしっかり理解して、大切な家族や自分自身の備えを進めていきましょう！

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