今回のテーマは「任意後見人ができること、できないこと」です。

番組の最後には任意後見契約をする際の注意点などもお伝えします。最後までご覧ください。

村山）任意後見制度とは、将来の後見人を契約で決めておく仕組みです。

認知症になった後に、自分が決めた人がかならず後見人になってお金の管理や生活のサポートをしてくれることになります。

髙橋） 任意後見人には何でもお願いすることができるのですか？

村山） 何でもお願いできるというわけではありません。

任意後見人ができることは、水道光熱費や税金などの支払いを含む「財産管理」と、本人の生活・医療・介護に関して支援をする「身上監護」です。

任意後見人ができないことは、トラブルがあった際の「本人がした行為の取り消し」、直接身体に触れるような「入浴介助や食事の介助」などの介護行為、「納骨やお墓の手続きなどの死後の手続き」です。

髙橋） 「本人がした行為の取り消し」とは具体的にどういうことですか？

村山） 少しややこしいのですが、任意後見人は法定後見人とは異なります。

生活に必要のない高額な商品を購入してしまった場合、法定後見人は本人がした契約行為を取り消すことができますが、任意後見人は、この取り消しをする権限がありません。

なぜなら、任意後見は、ご本人の自由意思を尊重しているため、他人による強制的な取り消しができる仕組みにはなっていないからです。

ただし、任意後見契約の中に“法律行為についての代理権”を入れておくことで、本人の代わりに業者と交渉するなどの対応は可能です。

法定後見人の取消権

民法第九条　成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

髙橋） なるほど。法定後見人と任意後見人とで違いがあるのですね。

介護については、具体的に何ができて、何ができないのでしょうか？

村山） 任意後見人が介護においてできることは、行政やケアマネジャーと連携して、介護や医療が必要なご本人に最適なサービスを検討して契約の手続きをすることです。自宅に手すりをつけたりするリフォームの手続きなども行います。

ただし、ヘルパーさんが行うような実際の介助行為はできません。

髙橋） 私が認知症になったら、身の回りのことを全部やってください、ということを契約書に書くことはできますか？

村山） 残念ながら、そういうざっくりとした書き方はできなくて、１つ１つ具体的に書く必要があります。

実際に、契約書に記載する代理権目録の例をみてみましょう。

　　例えば、不動産や家の中にあるもの処分をする権限、

　　銀行で代わりにお金をおろすことができる権限、

　　など、具体的に記載をしてきます。

髙橋） なるほど、お願いすることを具体的に決めておく必要があるのですね。

ちなみに、「納骨やお墓の手続きなどの死後の手続き」はたしか、「死後事務委任契約」でできるんですよね？

村山） はい。そのとおりです。

　　任意後見契約では、納骨やお墓の手続きについては権限がないので、死後の手続きをしてくれる親族がいない場合は、死後事務委任契約もセットにしておく必要があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

【必見】葬儀や納骨、おひとり様はどうしたらいい？その対策法 

髙橋） 任意後見人ができないことは、「本人がした行為の取り消し」、「入浴介助や食事の介助「納骨やお墓の手続きなどの死後の手続き」また、代理権目録に書いていない手続きということですね。任意後見契約をする際は、じっくり相談しながら契約書を作る必要がありますね。

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