今回のテーマは「おひとりさまの任意後見の事例」です。

かかる費用や契約内容について事例を交えながら村山先生にお話しいただきます。

村山）周りに頼れる人がいない方、いわゆるおひとりさまにとって「任意後見契約」は有効な選択肢です。

実際に任意後見契約を結んだ方の事例を使って、契約内容や費用をお伝えします。

事例

Aさん　72歳　女性　独身　一人暮らし　介護や死亡後のことを頼める親戚がいない。現在、日常生活は普通に送れているが、病気になった時のことや、葬儀のことなどを不安に感じている。

髙橋）おひとりさまでこういう方は多いと思います。

村山）はい、おひとりさまで頼れる人がいない場合、自分が認知症になったとき、倒れたとき、亡くなったときの不安がある方が多いです。

このような方には、「任意後見契約」だけではなく、その他のいくつかの契約を組み合わせることにより、元気な時から亡くなった後までの不安がカバーできます。

Aさんが結んだ契約はこちらの４つ

①見守り契約　

②財産管理等委任契約　

③任意後見契約

④死後事務委任契約

これらに加え、⑤「遺言」も準備しました。

髙橋）おひとりさまの場合は、だいたいこのような組み合わせになるのですか？

村山）はい、一般的にはこのように複数の契約をセットにすることが多いです。

それぞれの契約の流れと費用をお伝えします。

まずお元気なうちは、体調に変化がないかどうかを確認するため定期的に連絡をします。これが「見守り契約」です。毎月家に来てほしい、電話連絡だけでいい、など希望する見守り契約の内容によって月額報酬を決めていきます。

体が不自由になり、代わりに銀行に行ってお金を引き出してほしい、という時などに効力を発揮するのが「財産管理等委任契約」です。報酬が発生するタイミングは、Aさんが希望した時からになります。

認知症などにより判断力が低下したら、任意後見を依頼された人が家庭裁判所へ申立てを行い、任意後見監督人が選ばれて、任意後見がスタートします。

①の「見守り契約」と②の「財産管理等委任契約」は③の任意後見契約に含まれているので、①と②の月額報酬は終了し、「任意後見人へ支払う月額報酬」と「任意後見監督人へ支払う監督人報酬（裁判所が決定）」が発生していきます。

髙橋）Aさんはだいたいどれぐらいかかったのですか？

Aさんの場合

まず、契約書作成の段階で約36万円程度かかりました。

①の見守り契約が6年間続き（テロップで、6,000円×12か月×6年間＝432,000円）

②の財産管理等委任契約は使わなかったので月額報酬2万円はかからず

認知症を発症し、③の任意後見契約がスタート。任意後見人の報酬は3万円×12か月で36万円、プラス裁判所が決定した監督人報酬として年間15万円の審判がでたので、1年目は合計51万円の報酬がかかりました。

２年目は、任意後見監督人の報酬として年間12万円の審判がでたので、任意後見人の報酬36万円と合わせて、かかった報酬は48万円でした。

任意後見監督人の報酬は１年ごとに裁判所が決定します。毎年同じ金額とは限りません。

④の死後事務委任契約の報酬30万円と⑤の遺言執行報酬40万円は、Aさんが死亡した後に、Aさんの遺産の中から支払うことになります。

髙橋）事例でみると費用感がよくわかりました。

任意後見人への支払いは認知症になるまではかからないのですね。

まとめ

おひとりさまで、自分の思うように最後まで生きたい場合は、しっかりとその分の準備をしておく必要がありますね！今回はこれまでです。

参考：おひとりさま終活費用

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