今回のテーマは、「生活保護に関する誤解」について です。

分かりやすく藪内先生にお話しいただきます。

藪内）コロナ禍において、収入が減ったり仕事を失ったりして、生活が一変してしまった人は少なくありません。

生活保護は、生活に困窮している人なら誰でも申請できる、国が設けたセーフティーネットです。

しかし、本来であれば生活保護が受けられる場合でも、「自分は受けられない」と思い込んでしまい、相談も申請もしていない人が沢山います。

髙橋）自分は生活保護を受けられないと思い込んでしまうケースとはどのような場合ですか？

例えば・・・・

・働いていて収入がある

・年金を受給している

・生活能力のある親族がいる

・持ち家に住んでいる

など、特に、このような場合「生活保護を受けられない」と誤解している人が多いように思います。

髙橋）そのようなケースでも受けられるのですか？

藪内）働いていたり、年金を受給していたりする場合でも、給料や年金が最低生活費以下であれば、差額を受け取ることはできますし、生活能力のある親族がいたとしても、援助の範囲は、「社会通念上で生活を壊さない程度の限度」とされています。その親族が援助できない状況であれば、生活保護は受給できます。

最低生活費の算出方法

https://www.mhlw.go.jp/content/001152601.pdf

髙橋）持ち家がある場合はいかがでしょうか？

藪内）「持ち家を売却しなければならない」という誤解がありますが、必ずしもそうではありません。持ち家に住みながら、生活保護を受けるということも認められる場合はあります。

髙橋）「持ち家を売却しなければならない」のはどのような場合ですか？

藪内）施設に入所しているため持ち家を「住まい」として利用していない場合は、まず、売却を求められることになります。

また、利用価値よりも明らかに資産価値が高いと思われる持ち家も売却の対象となります。

例えば、一等地にある不動産などで資産価値が利用価値を上回るとみなされる場合や、家族の人数に対して広すぎる家などです。

髙橋）なるほど、生活状況に見合った持ち家に住んでいる場合は、生活保護を受けられる可能性があるということですね。

藪内）生活保護の受給には厳しい審査を受ける必要がありますが、一方で、受給の基準をできるだけ満たせるように、さまざまな仕組みも存在しています。

例えば、持ち家を売却する間だけ、または、就職までの短期間だけでも生活保護を受けることが可能です。

「自分は受給条件に当てはまらない」と思っていても、支援を受けることができるかもしれません。生活に困窮している場合は、無理をせず、まずは行政に相談してみてください。

髙橋）行政の窓口で、生活保護の受給をしたいという旨を伝え、基準に達しているかどうか、何が基準から外れているのかを確認することが大切ということですね。

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