今回のテーマは「私たち介護士は実は〇〇をしています」です。

介護現場で実際にどのようなことを気にかけてお世話をしているか在宅介護サポーターの永井さんにお話ししていただきます。

介護士がしていること

永井）介護士は高齢者のお世話を、ただしているだけではありません。私たち介護士は、お世話をする際に家族には見えにくいところでしていることがあります。それは何だと思いますか？

髙橋）そうですね…心のケアとかですか？

永井）それも大切です、が、私たちが、プロとしてやっていることは「観察」です。

食事介助、入浴介助、排泄介助といわれる３大介助の際に、それぞれ「観察」しているポイントがあります。今回は食事介助の際に観察しているポイントについてお伝えします。入浴と排泄は次回にお伝えさせていただきます。

髙橋）次回も見逃せないですね！

食事介助の観察ポイント

永井）では、まず食事介助の観察のポイント。主に４つあります。

1. 食べ方を認識しているか

永井）まず、１つ目は「食べ方を認識しているか」です。

食事を「食べ物」だと認識したり、お箸やスプーンなどの使い方を理解できているかです。

髙橋）具体的にはどういうことですか？

永井）認知症が進むと、食べ物を食べ物だと認識できなくなり、出されたものをじーっと見ているだけだったり、お箸やスプーンなどの使い方がわからなくなり、食べ物を手でつかんでしまったりします。そのため、認知症の進み具合に合わせて介助の仕方を変えていきます。

髙橋）食事によって認知症の進み具合がわかるのですね。

2. 噛む時の口の動きや嚙み合わせ

永井）２つ目は、「噛む時の口の動きや嚙み合わせ」です。

いつまでももぐもぐしていて、口の中に食べ物が残ったままでいないか。逆に、噛まずに丸飲みしてしまっていないかを観察しています。

髙橋）入れ歯が合っていないからとかですか？

永井）はい。見逃しがちですが、食べたくないのではなく、入れ歯が合っていない、歯や歯ぐきが痛くて食べられない、などお口の中の環境が整っていないことがあります。

また、顎や舌の動きなどに問題があることもあるので、歯医者の受診をすすめたり、食べやすいサイズに切ったり、食事の形態を変えることを、考えはじめます。

髙橋）本人がなかなか訴えてこないので、食べたくないの？と思いがちですが、気づいてあげたいポイントですね！

3. 飲み込み

永井）３つ目は、「飲み込み」です。

むせていないか、呼吸や声に雑音が混ざっていないか、などを観察しています。

髙橋）いわゆる「誤嚥」ですか？

永井）そうです。「誤嚥性肺炎」という言葉を聞いたことがあると思いますが、本来気管に入ってはいけないものが気管に入り（誤嚥）そのために生じた肺炎のことですが、高齢者がなりやすい病気です。そうならないように、飲みこむ力が衰えていないかを観察しています。

髙橋）それは、どうやってわかるのですか？

永井）咽に食べ物が残っていることは、外から見ることができないため、声にゼロゼロした音が混ざっていないかなど呼吸音に注意しています。

髙橋）そういったところからわかるのですね。音も観察のポイントということなのですね。

4. 食べる姿勢や量、スピード、見え方など

永井）４つ目は全体を通して、「食べる姿勢や量、スピード、見え方など」です。

食べる姿勢がきちんととれているか、量が減ってきていたり、スピードが落ちたりしていないか、右の物だけ食べている、など食事の見え方（認識）に偏りがないか、などを観察しています。

髙橋）認知症が発症している場合などは自分で訴えられないこともありますからね。

まとめ

永井）私たちは観察して記録していることで「いつも」との違いが見えてくるので、体調の異変や不調に気付くことになります。

髙橋）食事の介助をしている時に、こんなにたくさんのことを観察されているのですね。次回は入浴介助と排泄介助の観察しているポイントについてお話ししていただきます。

～ ゆるっとかいご　説明 ～

介護する家族を応援する介護情報チャンネルです。介護にかかる費用や、介護施設、認知症、相続のことなどを、はじめての方にも分かりやすくお伝えします！