今回のテーマは「トイレ問題の解決方法」廊下でおしっこしちゃった編です。

渡辺）認知症になると、見当識の障がいと言って場所がわからなくなる人も多く、家の中でもトイレを探してウロウロしたり。ご家族さんからも、「トイレの場所がわからないみたいで、廊下でおしっこをするので困っている」なんて相談も多くいただきます。

髙橋）私もそういう相談を受けます。

渡辺）今回はこの解決法について、お話しします。実は、トイレの扉にちょっとした工夫をするだけで解決できるのです

例えばこんな場面

あららこんなところで。廊下でおしっこをしています。こんな場面をみると、ついつい「こんなところで何してるの！」と怒ってしまいがちなのですが、それを言ってしまうと、逆に本人も怒り出してしまいます。皆さんも大変になるので、この場ではグッと怒りを堪え、本人が居なくなってから掃除をしましょう。 大事なのは、これからこうならないように考えることなのです。

まずは出来ること探しからです。この人は、歩くことも出来ている、おしっこの仕方も分かっている。では、どんなことが分からなくなってしまったのでしょうか？

髙橋）トイレの場所が分からないのじゃないですか？

渡辺）そう！　トイレの場所が分からないんです！だったら場所が分かるように目印をつけてあげましょう。分かりやすい目印って？私たちがいつも見ているのはこれですね！

これを見て皆さんもいつもトイレに行っていますよね。ではこれをトイレの扉につけたら、このおとうさんはトイレに行けるでしょうか？

髙橋）行けるような気もするんだけど、でも無理なような気もします。

渡辺）実際、これで行ける人もいるのですが、行けない人も多いです。 どうしてでしょうか？皆さんだったらトイレの扉にどんな言葉を書きますか？

髙橋）うちの職場は普通にトイレだったかな？化粧室だったかな？

渡辺）私が出会った人で「トイレ」と書いてもダメだった人が「かわや」と書いたら行けるようになりました。どうしてだと思いますか？

髙橋）なんでだろう？「かわや」は昔の言い方で、今は使わないですよね？

渡辺）そうなのです！そこが大事です。認知症の人は記憶障害があり、「覚えていた事を忘れてしまう」というのは以前の動画でもお話ししましたが、実は、新しいことから忘れてしまうという特徴があります。認知症になっても “昔のことは良く覚えている！” だから、昔の言葉のほうが有効だったりするのです。

髙橋）そうなのですね。そう言われてみれば私も家族の方から、「認知症のお母さんが昔の話ばかりする」とよく聞きます。それってそういうことなんですね。

渡辺）でも、

昔の言葉を書いても駄目な時もあります。こういう時は、家族さんにこう聞いています。「お母さん、いつも“便所” を “かわや”って言っていますか？」と。以前出会った方は「そう言えばうちのお母さんが、“便所” や “かわや”、なんて言ったのを聞いたことないです。いつもこう言っいてます。『おしっこ場はどこや！？』って。だからここに書く言葉は便所やかわやではダメなのです。こんな風に

「おしっこ場」と書いたら自分で行けるようになりました。お母さんはどんな言葉を忘れてしまって、どんな言葉なら覚えているのかを、探すことが大事なのです。大事なことなので覚えておいてください。「本人の言葉の中に答えはある！」  だから本人の言っていることに、しっかり耳を傾けることが大事なのです。

髙橋）本人の言葉で伝えることが大事なのですね！

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