今回のテーマは「要介護4で認知症の方の介護サービスの利用例」です。

事例からどれぐらい介護サービスが必要になるかをイメージしていただけたらと思います。

要介護4認知症のサービス利用例

佐賀）要介護4になると、入浴、排泄、食事、歩行、着替えだけではなく、日常生活の全てにおいて介護が必要になります。

髙橋）具体的にどういうことですか？

佐賀）歯を磨く、髪をとかす、顔を洗うなどのちょっとしたことにもお手伝いが必要になります。さらに、今日はこれが食べたい！などの意思決定や意思伝達が難しくなるので、メニュー表を用意して指差してもらうなどの意思の確認にもお手伝いが必要となります。

髙橋）一つ一つお手伝いや確認が必要になるということですね。

佐賀）はい。こちらの事例を参考にしていただきたいのですが

Dさん　77歳　男性　奥様（74歳）と二人暮らし（都内在住）　要介護4　脳血管性認知症の方　主に奥様が介護をしています。

Dさんは認知機能低下により、「うん」「いいよ」などの短い言葉しか発することができず、日常の意思確認は表情や身振りで判断する必要があります。

右半身の麻痺もあるため、右手が使えず身体的な介助と認知機能面での介助の両方を必要とします。日常生活ではちょっとしたことにおいてもお手伝いが必要で、例えば、歯磨きの際は、歯ブラシを渡す、歯を磨く行為をやって見せる、本人が磨き終わった後に仕上げ磨きをする、うがいをする行為をやって見せてからコップを渡すなど。

また、Dさんには易怒性（いどせい）という症状があり、急に怒る・大きな声を出すなどの行動があるので、認知症の方専門の「認知症対応型デイサービス」に週3回通っています。さらに、週2回訪問看護ステーションから理学療法士が来て歩行機能を維持するためのリハビリをしています。

髙橋）介護サービスは意外と使われていないので、奥様の負担が大きそうですね。

佐賀）はい、なので、奥様の休養のために月1回2泊3日でショートステイを利用しています。最初は1泊が限界でしたが、本人が大好きなビールを持ち込むことで、2泊できるようになりました。

髙橋）ショートステイにアルコールを持ち込めるのですか？

佐賀）はい！ショートステイは普段の暮らしをそのまましていただくということが大事なので、施設によっては持ち込みをOKしてくれるところもあります。

髙橋）それは、いいですね！　

要介護4認知症の介護費用例

髙橋）この事例の介護費用は月々どれぐらいですか？

佐賀）介護保険サービスの訪問看護（リハビリ）・通所介護・手すりと車イスのレンタル・ショートステイを合わせて約31,800円（負担割合１割）

実費（介護保険外）のデイサービスでの昼食とおやつ・ショートステイでの部屋代と食事代で約19,800円、トータルで月約51,600円です。

この事例は、奥様が主に介護をしているので、介護サービス費用が抑えられています。

髙橋）日常生活の全てにおいてお手伝いが必要になると、家族の介護力によって費用は変わってきそうですね。

働きながら介護はできる？

髙橋）家族がフルタイムで働いている場合、自宅での介護はできますか？

佐賀）要介護4の場合は、なかなか難しいと思います。

介護保険サービスと自費の介護サービスを利用すれば、できないこともないですが、費用負担がかなり嵩むので、やはり施設に入られる方が多いです。

在宅介護のポイント

髙橋）それでも、自宅で介護をしたい方はどうしたらいいですか？

佐賀）自宅での介護を続ける場合は、家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや介護の専門家とチームを作ることがポイントです。

良いチーム作りには、家族の情報収集が必要です。例えば、「ここのデイサービスが良い」などご近所さんの口コミ情報や、ネット情報など。

最近では、インターネットの情報を上手に収集されている家族も増えていて、私も色々と気づかされることがあります。

髙橋）そんな家族のためにも、「ゆるっとかいご」は、これからもお役に立てる情報をお伝えします。

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