今回のテーマは「血管性認知症」です。

「血管性認知症」には、4つの特徴があります。具体的にきらめき介護塾　代表 渡辺先生に教えていただきます。

血管性認知症とは

渡辺）脳梗塞って聞いたことありますか？

髙橋）脳の血管が詰まってしまう病気ですよね。

渡辺）そうです！脳梗塞になると脳の血管が詰まってしまい、血液が流れなくなるので、酸素や栄養が届かなくなり、脳細胞が死んでしまうのですが、その脳梗塞になった人の2割ぐらいが後遺症として発症するのが、この「血管性認知症」です。

＜血管性認知症の４つの特徴＞

1. 運動機能の障害
2. 言葉の障害
3. まだら認知症
4. 無気力・意欲低下

それぞれを具体的に説明していきます。

1.運動機能の障害

渡辺）1つ目の「運動機能の障害」ですが、「半身麻痺（はんしんまひ）」とか「片麻痺（かたまひ）」って聞いたことはありますか？

髙橋）体の右側や、左側の半分が動きにくくなることですよね。

渡辺）そうです。脳梗塞が右側の脳で起こると「左半身」に麻痺が、左側の脳で起こると「右半身」に麻痺が生じます。

そうなると、歩行が上手くできなくなったり、服の脱ぎ着が難しくなったりします。さらに、身体の半分が麻痺するので、口の中も半分麻痺してしまいます。その為、お茶やお味噌汁を飲む時に「とろみ」をつけて、飲み易くする必要があります。

2.言葉の障害

渡辺）2つ目の「言葉の障害」には、大きく分けて２つあります。

• 「左半身麻痺」の人に多くみられる「構音障害（こうおんしょうがい）」
• 「右半身麻痺」の人に多くみられる「失語症」

がありますが、この2つの違いは分かりますか？

髙橋）わからないです。

渡辺）「構音障害」は、言語知識には問題がないが、口や舌が麻痺で上手く動かない為、言葉が出にくくなります。
その場合、相手の言葉が出るまでゆっくり待つこと、あとは筆談したり、50音のコミュニケーションボードを使ったりすると良いです。

「失語症」は、言語知識に問題があり、相手が話す言葉の意味が分からないので話がかみ合わなくなる人、また、相手の話は理解できても、言葉を忘れてしまって、適切な言葉が出てこない、文章ではなく単語になってしまう人もいます。
その場合、実物を見せたり、ゼスチャーをしたり、あとは、「はい」か「いいえ」で、答えられるわかりやすい質問をするといいですね。

髙橋）同じ言葉の障害でも対応がまったく違うのですね！

3.まだら認知症

渡辺）3つ目は「まだら認知症」と呼ばれる症状です。

当然、脳梗塞が起こった部分の脳は機能が低下してしまいますが、それ以外の部分の脳は正常なので、たとえば、「読み書きは普通にできるのに、簡単な計算が全く出来ない」など、出来ること、出来ないことが混ざっている状態です。
なので、その人の出来ること、出来ないことを把握することが大事です。

4.無気力・意欲低下

渡辺）4つ目の無気力・意欲低下は、「頭と身体の寝たきり」と表現されることもあります。

例えば、「落ち着いているな」と思ってそっとしておくと、早い段階から寝たきりになってしまうこともあります。だから積極的に活動してもらうことが大事です。
その時のポイントは「間を空けないこと」です。

では、「間を空けない」ってどういうことかわかりますか？
例えば、認知症の人に洗濯物を畳んでもらおうと思ったらどうしますか？

髙橋）まず相手に「洗濯物、畳んでもらってもいいですか？」と確認して、「いいよ」って言ってくれたら洗濯物を取りに行きます。

渡辺）その“洗濯物を取りに行く時間”、それが「間を空ける」ということなのです。

髙橋）それが間ですか！そんなことは考えたことなかったです！

渡辺）洗濯物を持ってきた時には、すでに相手の意欲が低下してしまっています。血管性認知症の人には、「すべて準備してから声をかけること」がポイントです。

髙橋） 認知症は、記憶障害だけではなく、さまざまな症状があるのですね。それぞれの特徴を理解してケアすることが大事ですね。

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