今回のテーマは「なぜ認知症になると部屋が散らかるの！？」です。

認知症になると綺麗好きだった親の部屋がいつも散らかるという悩みをよく聞きます。 今回はちょっとした工夫で問題が解決した事例を交えて きらめき介護塾 渡辺先生とお伝えします 。

なぜ認知症になると部屋が散らかるの？

渡辺）散らかっている部屋より、物が片付いていて綺麗な部屋の方が良いと思いますよね。でも認知症の場合、そうとは限りません。

相談事例とお片付けのポイントをお伝えします。

相談事例

1人暮らしのAさんは初期のアルツハイマー型認知症。
何度も同じ話をしたり、冷蔵庫にある物をまた買ってきたりしていましたが、時々娘さん夫婦が帰ってきて、サポートをしながら生活していました。

ところが最近、部屋の片づけができなくなってきて、すごく散らかっているのが気になるようになりました。昔から綺麗好きで部屋はいつも整理整頓されていて、物はすべて机の引き出しの中に片付けていました。
ところが最近は、ボールペンや老眼鏡や銀行の通帳など、大事な物まで床の上に落ちていて、部屋は散らかり放題。

高橋）認知症になると、散らかっているのが気にならなくなるのですか？

永井）こういう相談は多いです。一人暮らしの利用者さんの家に行くと、色々な物がテーブルの上や床の上に置いてあることがあります。

渡辺）相談者は「きれい好きだった母が、あんな汚い部屋に…」と、悲しいやら、恥ずかしいやらで、自宅に戻ると必ず散らかった部屋を綺麗に片付けていました。

髙橋）私もそうすると思います。母の部屋が散らかっているのは嫌なので。

永井）私もヘルパーさんに部屋の片づけをお願いすることよくあります。

渡辺）相談者がしていることって、当たり前のことですよね。

ところが翌日、相談者がお母さんのところに行くと、また物が床に上に散らかっていていました。
しかもその散らかったお部屋でお母さんはニコニコ笑っていたので、
「お母さん、こんな汚い部屋にいて何も気にならないの？片付けても、片付けても、キリがない！いい加減にしてよ！」
とイライラが募って、ついついお母さんに厳しく当ってしまいました。

部屋が散らかる理由

髙橋）相談者の気持ちは分かります。片付けても片づけても散らかされたらキリがないので辛いと思います。

永井）でも、お母さんは笑顔ってことは、散らかった部屋のほうが落ちつくってことですか？

渡辺）認知症と言えば「記憶障害」が特徴です。
では初期の「記憶障害」の特徴ってどんな特徴があるか覚えていますか？

高橋）記憶障害の初期は確か「覚えられなくなる！」ですね！

永井）「覚えられなくなる！」ということは「片付けた場所が分からなくなる！」のかな？

渡辺）そうです！私たちは物を片付けても「あれはあそこに片付けた！」と覚えているから安心できます。
でも覚えるのが苦手になった認知症の人は、目の前に無くなったとたん、不安になってしまいます。

一般的に物を片付けることは、引き出しの中や、タンスの中など、目に触れない場所に物を移動させることです。
そうなると認知症の人の中には、「物が無くなった！」と不安になってしまう人もいるのです。掃除をした後、ソワソワして物を探す人、落ち着かなくなる人がいるのはそういうことです。

上手に片付ける時のポイント

渡辺）上手に片付ける時のポイントは『机の上に並べる』とか、『壁掛けポケットに入れる』など、本人が見えるところに片付けることです。

私達が良かれと思ってしていることが、認知症の人を不安にさせてしまうこともあります。そうならない為にも認知症の正しい知識を身に付けることが大事です。

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