今回は、要介護認定を受けなくても、特定のサービスが利用できる「総合事業」についてです。

分かりやすく藪内先生にお話しいただきます。

総合事業とは（条件・費用など）

藪内）総合事業とは、「介護予防・日常生活支援総合事業」といい高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、市区町村が中心となって地域全体で介護予防や生活支援を行う事業のことです。

髙橋）このサービスができたことで、何が変わったのですか？

藪内）支援が必要な方が、要介護認定を受けなくても、在宅介護のサービスで利用者の多い「ホームヘルパー（訪問介護）」と「デイサービス（通所介護）」を受けられるようになりました。

髙橋）それは助かりますね！「ホームヘルパー」と「デイサービス」を利用するハードルが下がったということですか？

藪内）はい。

「基本チェックリスト」という、心身の状況を確認する全25項目の簡単なテストに該当さえすれば、「事業対象者」として、すぐに利用できるようになるということです。

サービスを利用する費用は、介護保険サービスを利用する際の負担割合と同じ１割から３割です。

「基本チェックリスト」は厚生労働省が基本様式を出していますので、ホームページなどで確認することができます。リンクを下記に貼っておきます。

▼ 基本チェックリスト（厚労省） はこちら
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1f_0005.pdf

相談窓口と対象者

髙橋）利用したい場合は、どこに相談したらいいのですか？

藪内）まずは、市区町村の介護認定の窓口に電話相談してください。

明らかに要介護認定を申請したほうがいい場合、「住宅改修」や「福祉用具貸与」など、「ホームヘルパー」と「デイサービス」以外のサービスを希望する場合は、要介護認定を申請することになりますが、それ以外の場合は、地域包括支援センターや市区町村で「基本チェックリスト」を実施し、心身の機能が低下していないかどうかを確認します。

基本チェックリストで事業対象者となった場合は、地域包括支援センターでケアプランを作成してもらい、サービスの利用を開始します。

髙橋）総合事業は、「基本チェックリスト」に該当した人だけが対象になるのですか？

藪内）総合事業は、「基本チェックリスト」の対象となった「事業対象者」と、要支援1、2の人が対象となります。

髙橋）なるほど、「要支援１、２」の方は「介護保険サービス」と「総合事業」が利用できて、「事業対象者」は「総合事業」だけが利用できるということですね！

メリット・デメリット　

髙橋）そのほかに、総合事業のメリットやデメリットはありますか？

藪内）まずはメリットについてです。

「高齢者のニーズに合わせた多様なサービスを利用できる」という点です。

サービスの主体が介護事業所だけではなく、NPO、民間企業、ボランティアなどに広がり、高齢者のニーズに合わせてさまざまなサービスを提供できるようになりました。また、地域の多様な人材の活躍の場も広がっています。

それから、「サービスを利用するハードルが下がった」ということです。

「ホームヘルパー」と「デイサービス」を利用するには、要介護認定を受ける必要がありましたが、「基本チェックリスト」により手続きが簡単になり、サービスを利用できるようになるまでの期間も短縮されました。

髙橋）早くサービスが利用できるのは嬉しいですね！デメリットはどうでしょうか？

藪内）デメリットと言えることは、「住んでいる地域によってサービスの内容や利用料に差がある」ということです。

総合事業は、市区町村ごとの基準で運営しており、利用の仕方や利用料、「基本チェックリスト」の様式など、各市区町村によって異なります。「基本チェックリスト」も要介護認定を申請して、非該当になった方だけ受けてもらうという市区町村もあります。

まとめ

髙橋）要介護認定以外に総合事業の「事業対象者」として、「ホームヘルパー」と「デイサービス」を利用できる手段があるということがよくわかりました。次回は「認定の調査や審査」についてお伝えします。

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