今回のテーマは「家族信託とは？」の基本をお伝えします。

介護にまつわる財産管理制度に詳しく、 実績豊富な司法書士 村山先生にお越しいただきました。

家族信託とは？

村山）まずは、「家族信託」の信託についてお話します。「信じて」「託する」と書きます。つまり「信用できる人に託する」仕組みです。この制度は歴史が古くて、中世ヨーロッパの十字軍の時代からあったと言われています。戦争に行く時に、自分の妻と子供を守れない為、自分の信用している人に、自分の財産を預けて「妻と子供をお願いします！」と託したのが始まりだと言われています。

これを現代版に置きかえていると考えてください。

村山）この制度は2006年に改正され（20007年施行）、一般の人にも非常に使いやすくなりました。最近注目されています。成年後見制度では注意しなければいけない点がたくさんあります。

この制度を使わずに済むなら、その方が良いですよね。
家族信託を使えば、財産管理できるのでは？という事で注目され始めています。

永井）確かに最近聞きますよね。

村山）家族信託を一言で表現してみましょう。

「贈与じゃない方法で財産管理を家族に任せる方法」です。

髙橋）ちょっとピンとこないですね。

永井家を例にしてシュミレーション

自宅の名義人はお父様で所有もされています。この所有を分解すると、「所有」「管理」「名義」をすべて一人で行っているという状態です。これを娘の永井さんに託してもらいます。「家族信託」という信託契約を結びます。それにより、所有はお父様のまま、管理と名義は娘の永井さんに移ります。管理だけではなく、名義も移るのがポイントです。ただし、所有はお父様のままなので贈与税も発生しません。お父様がしっかりしている元気なうちにやって頂く必要があります。

この数年後・・・お父様が認知症を発症しました。

この家を売って介護費用に充てたいという話が出た場合、家を売る手続きをしますが、この時に売るための契約書にサインをするのが、娘の永井さんになります。名義をもっている方がサインします。ということは後見人を選ばずに売却ができます。

永井）すごい良い制度だと思いました。家を売ったって事は、このお金はどうなるのでしょうか？

村山）このお金は所有者であるお父様のお金になります。何故かというと家は、形を変えてお金になっただけなんです。永井さんはただの管理人なので、私物化しないように注意してください。このお金は、お父様の生活の為に使うと契約書に盛り込まれています。

家族信託：費用

永井）この制度を使うのに費用はどれくらい必要ですか？

村山）契約書の作成などは、司法書士や弁護士などの専門家に頼んでください。契約書の案を作成したり、公証役場への手配をしてもらったりするのに、約30万円～と考えてください。上限はないです。大地主の方もいらっしゃいますので。自宅だけの目安が、30万円となります。名義変更時の税金も考慮して、おおよそ50万円ぐらいと思ってください。

永井）結構、初期投資が掛かりますね。月々のコストはどうなるのでしょうか？

村山）月々のコストは掛かりません！

髙橋）お父様が長生きされても、負担がかからないのは良いですね。

村山）後見人制度と違って、毎年報酬を払うこともありません。そこが大きな違いです。

今回のまとめ

「信託とは信用できる家族に財産管理を任せる事」

※契約を結ぶので（所有者が）元気なうちにしかできません。（所有者が）認知症になったとしても後見人を使わずに財産管理ができる。初期費用は掛かるが、ランニングコストはかからない。贈与ではない！

～ ゆるっとかいご　説明 ～

介護する家族を応援する介護情報チャンネルです。介護にかかる費用や、介護施設、認知症、相続のことなどを、はじめての方にも分かりやすくお伝えします！