今回のテーマは「親が認知症になったら（法定）後見人をつけないといけないの？」です。

法定後見人とは

村山）「親が認知症になったらすぐに（法定）後見人をつけないといけないのか？」という質問を受けたことがありますが、個人的にはすぐにつけなくてもいいと考えています。

（法定）後見人とは、認知症などで判断能力が低下した方の法律上の代理人となり、「財産管理」や「体のケアのサポート」をする人のことです。

後ほどご紹介しますが、後見人をつけないとできないケースを除き、家族間において既に財産管理ができている場合は、慌てなくてもいいという意味です。

お金の引き出し方

髙橋）認知症になった親の代わりに、子供が預金をおろすのは法的に問題がないですか？

村山）親の生活費、医療費、介護費用などに関しては、請求書など、必要書類を持参すれば、銀行窓口でお金をおろすことができます。

近年、全国銀行協会において、このような対策がとられています。

〔参考〕➤全国銀行協会

また、取引銀行において事前に「代理人届」をしている場合は、代理人として子供が引き出すことが可能です。

〔参考〕➤認知症の親のお金の管理の仕方や注意点

髙橋）後見人をつけなくてもこれらのことはできるのですね！

後見人が必要となるケース

髙橋）では、後見人をつけないとできないことは何ですか？

村山）代表的な例として、（法定）後見人が必要となるケースは

1. （認知症の親の）不動産の売却
2. （認知症の親の）定期預金の解約
3. （認知症の親の）株の売買

髙橋）親が認知症になった時に、これらのケースが発生した場合は、後見人をつけることになるということですね。

村山）これらのケースが発生しない場合は、実際にあまり困ることがないため親が認知症になっても、（法定）後見人をつけていない、というケースが多いです。

必要になってしまうケース

そのほかの事例としては、認知症の親がキャッシュカードの暗証番号を何度か間違えロックされてしまい、引き出しができなくなって（法定）後見人をつけた、というケースがあります。

髙橋）それは盲点ですね。

村山）予想外の出来事で、（法定）後見人が必要になってしまうケースもあります。

事前に対策を検討する

”親の財産で介護費用をまかないたい”と考えている場合は、事前に何かしらの対策をしておかないと、（法定）後見人が必要になる可能性があります。

事前の対策としては、「代理人届」などのお金のかからない方法、「任意後見」や「家族信託」など、お金をかけて法的に手続きをする方法があります。

心配な方は司法書士などの専門家に相談しながら検討してください。

髙橋）親が元気なうちに、できることから対策をしておきたいですね。

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