今回のテーマは「成年後見制度（法定後見）のメリット・デメリット」です。

「成年後見制度のメリット・デメリット」について司法書士 村山先生にお話ししていただきます。

成年後見制度とは

村山）成年後見制度は法定後見と任意後見の2種類があります。今回は法定後見制度のメリット、デメリットについてお伝えします。

『法定後見制度』は、すでに判断能力が不十分な方を支援する制度です。

法定後見制度のメリット・デメリット

〈メリット〉

• 不動産を売却できる
• 銀行の窓口でお金をおろすことができる
• 不必要な契約の取り消しができる
• 介護サービスや施設入居に関する契約等ができる（おひとり様）

髙橋）介護の費用が必要になった方や、身寄りのない方が介護サービスを利用する場合にはメリットが大きそうですね。

＜デメリット＞

• 申し立ての費用と手間がかかる
• 親族が後見人に選ばれるとは限らない
• 専門職が後見人に選ばれた場合に、毎年報酬が発生する
• 原則、途中でやめることができない
• 価値観があわない後見人がついた場合に、家族にストレスがかかる
• 積極的な資産運用や相続税対策ができなくなる

髙橋）メリットよりデメリットの数の方が多いですね。

村山）そうですね。ただし私が特にデメリットと感じているのは、家族がいるケースで、「親族が後見人に選ばれるとは限らない」という点です。

誰が後見人になる？

村山）後見人に親族が選ばれた場合は、デメリットはさほど多くないのですが、専門職が選ばれた場合、先ほどあげたデメリットの多くがあてはまってしまうからです。

髙橋）親族が後見人に選ばれる確率はどれぐらいですか？

村山）親族が、後見人に立候補した場合は、８割程度の確率で選ばれているようです。

髙橋）2割は選ばれていないのですね。それはなぜですか？

村山）実際に私が申立のお手伝いをして、親族が立候補したけど選ばれなかったという事例が２パターンありました。提出した通帳に使途不明金が多かったケースと、他の親族が反対をしたケースです。この人は後見人として適切ではないと裁判官が判断した可能性があります。

髙橋）そういった事情があると親族でも選ばれないのですね。

成年後見制度の闇

髙橋）ところで、「成年後見制度の闇」というテレビ番組を見たのですが、実際はどうなのですか？

村山）家族側と意見の合わない一部の後見人の事例がクローズアップされており、偏った内容だなという印象を受けました。ご本人に寄り添い、誠実に取り組んでいる先生もたくさんいます！

髙橋）村山先生に成年後見人になってもらって安心した！とおっしゃっているご家族もいらっしゃいましたね。

村山）はい、そのように言ってもらえることがやりがいにもつながっています。

まとめ

村山）ご本人の通帳はすべて後見人が管理することになりますし、不動産の売却など様々な判断が、後見人に委ねられます。

親族がやるのか、見ず知らずの専門職がやるのかで、メリット・デメリットが変わってきます。

髙橋）成年後見制度を利用する場合は、後見制度に詳しい先生に相談してから検討しましょう！

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