今回のテーマは「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」です。

今回のテーマは低所得者向けの軽減制度である「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」について 、元行政職員の藪内先生にお話しいただきます。

社福軽減とは

藪内）低所得で生活が困難な方や生活保護受給中の方に対して、社会福祉法人等の協力で利用者負担を軽減する制度があります。

「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」と名称が長いので、略称「社福軽減」と呼ばれています。

※社会福祉法人とは、特養などを運営している社会福祉事業を行うことを目的とした民間の非営利法人

髙橋）そんな軽減制度があるんですね。

社福軽減について

社福軽減の軽減内容

髙橋）具体的にはどのような軽減が受けられるのですか。

藪内）収入要件などが細かく決められていますが、介護サービス費の自己負担額が4分の1、特別養護老人ホームやデイサービスなどの食費、居住費が4分の1軽減されます。

生活保護受給者は、特別養護老人ホームの利用における個室の居住費が全額軽減されます。

髙橋）自己負担額の4分の１ということは、例えば、介護サービス費が10,000円かかる場合は7,500円になるということですね。

社福軽減の対象者

髙橋）この軽減制度に該当するのはどのような方ですか？

藪内）いくつか要件があります。

まず「収入要件」は、年間収入が単身世帯で150万円以下です。世帯員が1人増えるごとに50万円を加算します。この収入はあらゆる収入を指し、「遺族年金」や「障害年金」のような非課税収入も対象になります。

髙橋）夫婦であれば、200万円以下ということですか。

藪内）はい、そうです。次に預貯金等や不動産などの「資産要件」です。

預貯金等は、単身世帯で総額350万円以下です。世帯員が1人増えるごとに100万円を加算します。保有している預貯金の確認方法は自治体によって異なりますが、一般的には世帯全員の通帳の写しなどの提出が必要になります。

不動産は、”日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない”ことが条件になります。
つまり、持ち家や事業収入を得るための不動産などは保有していても問題ありませんが、別荘などの日常生活に必要のない不動産などを持っている場合は、軽減制度の対象外となります。

髙橋）別荘など日常生活に必要のない資産は、まずは売却を検討しなければならないということですね。

藪内）はい。その他の要件は、課税者の健康保険や税法上の扶養に入っていないこと、介護保険料を滞納していないことです。

髙橋）収入も資産も少なく、頼れる親族がいないという方や、生活保護受給者のための軽減制度なんですね。該当すると思われる場合はどうしたらいいんですか？

藪内）要件に該当すると思われる方は、自治体の「介護保険担当課」で申請をしてください。

社福軽減の対象サービス、介護施設

髙橋）すべての介護サービスや介護施設が軽減の対象となるのですか？

藪内）いいえ。「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」という名の通り、「社会福祉法人等」が提供するサービスに限って軽減対象になります。ただし、社会福祉法人でも軽減を受けることのできない事業所もありますので、軽減制度適用後の介護サービスについては、ケアマネジャーに相談してください。

次回予告

髙橋）「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」についてよくわかりました。次回は介護に関する軽減制度をまとめておさらいしていただきたいと思います。

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