介護保険外サービスとは～種類や費用、利用するメリットを解説

介護保険外サービスとは、国の介護保険制度の対象外の介護サービスです。介護保険外サービスは介護保険を利用することができないので費用は全額自費になりますが、介護保険の適用内では受けられないサービスがあるので、日々を充実させることができます。介護保険外サービスを活用することで、介護を受ける方もその家族もより快適な生活を送れるようになるでしょう。

本記事では、介護保険外サービスの種類や費用、これを利用するメリットなどを解説します。

介護保険外サービスとは

しかし、厚生労働省は介護保険外サービスの活用を後押ししています。ここでは気になるその概要について解説していきます。

介護保険外サービスの概要

厚生労働省の「地域包括ケアシステムの構築と『保険外サービス活用ガイドブック』について」という資料の中に、介護保険外サービスについて記載があります。厚生労働省は介護保険外サービスを、地域包括ケアシステムのなかに位置付けています。

地域包括ケアシステムは、医療、介護、予防、住まい、生活支援を包括的に確保する体制のことで、高齢者がこれからまだまだ増えることから、介護が必要な方の生活を地域の資源でしっかり支えていこうという考えがベースとなっており、内容は自助、互助、共助、公助に分けられています。

▼地域包括ケアシステムの自助、互助、共助、公助の内容

自助	・介護保険や医療保険の自己負担部分 ・市場サービスの購入 ・自身や家族による対応
互助	・ボランティアなどの支援 ・地域住民の取り組み
共助	・介護保険や医療保険による給付
公助	・介護保険や医療保険の公費（税金）部分 ・自治体などが提供するサービス

介護保険では、生活援助や身体介護などのサービスを提供していますが、サービスの種類によっては提供できないものもあります。

例えば介護保険では原則、同居家族がいる方には生活援助を提供していません。つまり同居家族がいる方は介護が必要であっても、散歩などの外出介助や、正月用の調理作り、来客者にお茶を出すサービスなどは、介護保険を使うことができません。

しかし、介護を受けている人の中には、こうしたサービスこそ受けたい方もいらっしゃいます。
このようなケースで介護保険外サービスを活用するのがおすすめです。外出介助も特別な料理作りも頼むことができます。ただし、介護保険から費用補助が受けられないので、費用は全額本人負担となります。

介護保険外サービスのメリット

介護保険外サービスは、介護保険制度のルールに縛られることがありません。事業者は自由に内容を決めることができますが、いくつか共通した特徴があるので紹介します。

サービスの提供時間が比較的長い

介護保険外サービスなら、サービスの提供時間を長くすることができます。

保険適用内の介護保険サービスではサービスの提供時間が定められています。内容に不足を感じる利用者（介護を受けている方）は少なくありません。

介護保険外サービスなら、提供者（事業者）と利用者が合意すれば何時間でもサービスを利用することができます。介護保険サービスで介護をしてもらい、時間になったら介護保険外サービスに切り替えるといった使い方もできます。

高齢者の家族を対象としたサービスもある

介護保険外サービスなら、介護保険対象者だけでなく、その家族の介護も頼むことができます。

まずは介護保険の適用内でサービスを受ける場合。例えば高齢夫婦の2人暮らしで、夫は介護保険の対象者、妻は対象外だとします。このケースで家にくる介護者（ヘルパーなど）は、夫の介護をすることはできても、妻の生活をサポートすることはできません。しかし妻も高齢のため介護までいかなくても生活のサポートをしてもらいたいと思う場合があります。

このような際は夫は介護保険サービスを使い、妻は介護保険外サービスを使うのが良いでしょう。併用することで妻は介護保険外サービスのスタッフに、洗濯や調理、買い物、布団干しなどをお願いすることができます。

自由なサービスを選択することができる

介護保険外サービスを提供している事業者には、介護保険サービスにはないメニューを用意しているところもあります。

また、介護保険制度の適用範囲内ではサービス内容によっては対象者以外が利用できないという欠点があります。

しかし介護保険外サービスなら、用意されているメニューは、料金さえ支払えば誰でも使うことができるので、自由なサービスを利用することができます。サービスの提供者も受け手も、自分たちが望むものを提供したり受けたりすることができます。介護保険外サービスを利用することで介護の選択肢が広がり、最適な介護になるでしょう。

主な介護サービスの種類と費用

介護保険外サービスを行っているのは、1）自治体、2）介護会社、3）社会福祉協議会、4）一般企業です。それぞれの特徴とサービスの種類と費用を紹介します。

市区町村による高齢者住宅サービス

地域の自治体が、在宅サービスを介護保険外サービスとして独自に実施することがあります。独自政策なのですべての市区町村が実施しているわけではなく、またサービス内容も自治体によって異なります。

在宅サービスは、介護者が高齢者宅に訪れて生活全般を支援します。主なサービスの種類と料金の目安は以下のとおりです。

■市区町村の在宅サービスの主なサービスと費用の目安

サービス内容	費用の目安
おむつ配送	月10,000円ほど
訪問による理美容	1回数千円
給食	1食500円ほど
緊急時の連絡	月1,000円ほど

利用する場合は市区町村に直接問い合わせたり、地域包括支援センターに相談したりしましょう。市区町村のホームページや広報紙でサービスの内容や費用を確認することができます。

市区町村が中心となり実施する「介護予防・日常生活支援総合事業（総合事業）」

自治体では要支援者をサポートする「介護予防・日常生活支援総合事業」も行っています。対象者は要支援者と、心身の状態を客観的に判断するためのチェックリストに該当する方ですが、中には要介護者のためのサービスもあります。

■介護予防・日常生活支援総合事業の主なサービスと費用の目安

サービス内容	費用の目安
生活援助	1回60分、数百円ほど
通所でのサービス	1回数百円ほど

これも自治体によって内容が異なるので、お住まいの市区町村役所に問い合わせてみましょう。

介護サービス事業者による介護保険外サービス

多くの介護サービス事業者の主要事業は介護保険サービスの提供です。しかし、中には介護保険外サービスを展開している事業者もあります。
介護サービス事業者の主な介護保険外サービスと費用は以下の通りです。

■介護会社による介護保険外サービスの主なサービスと費用の目安

サービス内容	費用の目安
洗濯や料理など	1時間数千円
入院中の世話など	1時間数千円
1泊～数泊の短期間のお泊りデイサービス	1日数千円

事業者によって提供しているサービスはさまざまですが、介護保険の対象であるサービスでサポートすることができない部分でのサポートをするサービスが多く存在します。

社会福祉協議会の高齢者支援サービス、シルバー人材センターの家事・福祉支援サービス

民間の社会福祉活動を推進することを目的とする社会福祉協議会や、高齢者の雇用の安定を目指し簡易や業務を請け負うシルバー人材センターも介護保険外サービスを行っています。地域ごとに存在するこれらの組織が提供する介護保険外サービスを活用するのもおすすめです。

■社会福祉協議会などの介護保険外サービスの主なサービスと費用の目安

サービス内容	費用の目安
調理、選択、買い物、掃除など	1時間千円～数千円
入院中の世話、冠婚葬祭の付き添い、認知症の人の見守り	1時間千円～数千円

こちらも地域によってサービスの詳細は異なるので、各自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス

主要事業は介護事業ではなくても、間接的に介護保険外サービスを実施している事業者もあります。具体的には以下のようなサービスです。

■一般企業の介護保険外サービスの主なサービスと費用の目安

サービス内容	料金の目安
コンビニ、生協、弁当店による配食サービス	1食1,000円以下
家事代行	1時間数千円
介護タクシー、通院介助など	1時間数千円

これらの生活の補助を目的としたサービスも、介護保険外サービスとして扱われます。積極的に活用することで生活の質を向上させることができるでしょう。

介護保険外サービスを含めた介護方針を決めたい場合はロイヤル介護に相談を

ここまででお伝えしたように、介護保険外サービスを活用することで、より高齢者の生活や高齢者家族の生活の質を高めることができます。とはいえ、費用は全額自己負担なので、使いすぎると支払いが高額になってしまいます。予算内に収めるには、介護保険サービスと介護保険外サービスをうまく併用することが理想です。そのような相談は、ロイヤル介護へご相談ください。

ロイヤル介護なら、有資格者や介護現場の職員に介護方針を相談することができます。介護保険外サービスを含めた全ての介護サービスの中から最適な介護方針をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。