世帯分離とは？メリットや注意点について解説！

世帯分離とは一緒に住んでいる両親、家族と世帯を別々に分けることです。世帯分離には、介護に関する費用の軽減などの利点があります。

ほかにも様々な経済的な利点がありますが、実際に詳しく知っている方はほとんどいないのではないでしょうか。そこで、世帯分離の概要やメリット、注意点について詳しく解説します。

世帯分離とは

世帯分離とはどのように行うのでしょうか。また、世帯分離を行う人にはどんな特徴があるのでしょうか。

状況によっては世帯分離をすることで出費が減り、経済的なゆとりができます。現在、要介護者と同じ住民票であれば、軽減できる費用があるかもしれません。それでは詳しく見ていきましょう。

世帯分離とは一緒に住む家族間の世帯を分けること

世帯分離は主に、高齢の親と子どもの間で行われます。世帯分離の本来の目的は所得の低い親の住民税の軽減です。住民税の額は世帯ごとに決められます。世帯ごとに年の所得を計算するため、世帯分離を行うことで世帯の所得額が減ると住民税が減ることがあります。

世帯の所得合計金額が市町村の条例で定められた額より少なければ「住民税非課税世帯」となり国民健康保険料の免除や、高額医療費の上限額の低下といった恩恵を受けることができます。

ただ、世帯分離にはメリットだけでなく、高額療養費の世帯合算ができなくなるなどのマイナスな面もあります。また、世帯分離を行う際は市区町村で手続きを行う必要があります。

世帯分離の主な目的は介護費用の軽減

介護費用の自己負担額は世帯の所得によって決まります。また、高額介護サービス費制度なども世帯ごとに所得を計算します。よって世帯を分けることで所得が分割することで介護費用の自己負担額が軽減する可能性があります。

現在自己負担割合が2〜3割という方は、1割へと軽減するかもしれません。

世帯分離のメリット

世帯分離を行うことで、世帯の合計所得が減ります。世帯の所得が減ることでどのように介護費用が軽減されるのか詳しく解説します。

介護費用の自己負担額を軽減できる

介護サービスを利用する際、要介護認定を受けていれば、1〜3割の自己負担額で要介護度ごとに定められた支給金額内のサービスが利用できます。

介護保険制度では公平性を確保するために、現役並みの所得がある高齢者については介護保険サービスの自己負担が2割、さらに2018年8月からは制度が変わり、65歳以上で「年金収入＋その他の合計所得」が340万円以上ある方は3割負担となりました。

もし、要介護状態の両親が子どもと同じ世帯にいる場合、世帯年収が「現役並みの所得」と判断されるため、世帯を分けることで負担額を軽減できる可能性があります。

また、1ヶ月に利用した介護サービスの自己負担額が指定の限度額を超えた時に、超えた分の金額を後から給付される高額介護サービス費制度も、世帯の所得で限度額を設定しているため、世帯分離で費用が軽減される可能性があります。負担の基準は1〜5段階あり、1段階の1ヶ月の負担上限額は1万5000円、4段階では4万4000円となるため大きな違いがあります。

参考：「厚生労働省 サービスにかかる利用料（https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html）」

国民健康保険料が下がることがある

国民健康保険料の金額は前年の所得で決まります。世帯を分けることで所得額が減り、費用負担が減る効果が期待できます。

しかし、1つの世帯で支払う保険料が少なくなっても、2つに分けた世帯の保険料の総額が高くなる場合もあります。

後期高齢者医療制度の負担額を減らすことができる

75歳以上（一定の障害がある方は65歳以上）の方は後期高齢者医療制度を利用することができます。医療費の自己負担額が3割から1割となる制度ですが、自己負担額の限度額も世帯の所得で決定します。よって世帯を分けることで自己負担額を軽減できる可能性があります。

また所得が一定以下の場合は住民税が非課税となります。これによって経済的恩恵を受けることも可能です。

参考：「厚生労働省資料（https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000134253.pdf）」

世帯分離のデメリット

続いて、世帯分離をする際に注意すべきことを解説します。世帯分離は医療費や介護費用の軽減を期待できますが、条件によっては損をすることもあるので注意しましょう。

各世帯で国民健康保険料を支払うことになる

国民健康保険料は世帯ごとに世帯主が支払います。世帯分離をすることで世帯主が2人となるので、両世帯の金額を合計すると以前よりも高額となる可能性があります。また、支払いの手間が増えるというデメリットもあります。

国民健康保険料の支払総額は必ず事前に確認をしましょう。

家族が扶養から外れる

世帯を別々にすることで、扶養内だった家族が扶養から外れます。家族が扶養から外れることによって勤務先から受け取っていた扶養手当や家族手当などが受け取れなくなります。

また、勤務先での扶養を外れることで、保険組合のサービスを受けられなくなります。さらに、扶養外の家族は健康保険料を自分で支払うことになります。家族の介護をしている場合、勤務先の各手当や保険組合のサービスを利用した方が得なケースがあるので注意が必要です。

手続きの手間が増える

世帯分離をするには手続きが必要です。住民票の取得、複数の書類を用意するなどの手間がかかります。世帯を分離した後も今まで1つの世帯でできた手続きを世帯ごとに行う必要があります。

また、親が高齢であり自身で手続きを行うことが難しい場合、子どもが代わって行うことになります。その際は委任状が必要となるので注意しましょう。

世帯分離の手続き方法

続いて必要書類、手順等を説明します。スムーズに手続きを行うため、詳しい手続き方法や必要書類は事前に確認しておきましょう。

必要なもの

世帯分離を行う際には以下の必要書類を揃えなければいけません。不備があった場合、再度窓口に足を運ぶ必要が生じるので注意しましょう。

必要書類 ・本人確認書類（マイナンバーカード、パスポート、運転免許証の場合は1枚で可。その他の本人確認書類である場合2枚以上の提示となります。） ・国民健康保険証 ・世帯変更届 ・印鑑

市町村の窓口へ

必要書類を揃えたら市町村の窓口へ行き提出します。

世帯分離の届出は窓口でしか受け付けていないため、必ず足を運ばなければいけません。届出期間は変更があってから2週間以内となっています。また、親が高齢であり窓口に行くことが難しく、手続きを代理人がする場合には委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。

世帯分離で金銭的不安を軽減する

少子高齢化の現代において、老後を安心して暮らすためには資産を準備することが重要になります。今後自分の資産を少しでも守るため、出費を抑え守っていくことは非常に大切です。その方法として世帯分離を選択肢の1つに入れておきましょう。

世帯分離で費用が軽減するか知っておく

事前に世帯分離でどの程度介護費用が軽減できるのか、またそもそも軽減できるのかどうか知っておきましょう。

介護にかかる費用は人それぞれです。介護費用がどのくらいかかるかは、利用する介護サービスや保険によって異なります。

世帯分離以外にもさまざまな制度を活用することで介護費用を抑えることもできます。安心した老後生活を送るために、実際にどのくらいの費用が必要になるのか事前に確認しておきましょう。

世帯分離における介護費用の相談はロイヤル介護へ

介護サービスや費用軽減制度にはさまざまな種類があります。それらを全て網羅し必要な介護費用を調べるのは大変です。また、世帯分離によってどの程度費用が軽減できるのか計算するのは個人で行うのは難しいでしょう。

世帯分離を行うことで、どの程度経済的負担が軽減できるかを知りたい方は、ロイヤル介護に相談しましょう。

ロイヤル介護では介護のプロである相談員が介護プランを立て、具体的な費用を知ることができます。その上で世帯分離をした方が良いかどうか判断することが可能です。

過去のご相談数は10万組以上で、業界トップクラスの実績を持っています。相談は何度でも無料です。店舗での相談はもちろん、自宅でのオンライン相談も可能です。世帯分離を行うべきかどうか、必要な介護費用がいくらか知りたい方はお気軽にご相談ください。