高齢者が食べ物にむせる「嚥下障害」の予防法

嚥下障害が引き起こす怖い「誤嚥」

嚥下障害が出てくると最初のうちはむせる程度で済むのですが、ここから「誤嚥」に発展すると危険性が高まります。
高齢者は嚥下障害によって食べ物が気管に入ってしまうと、自分の力で食べ物を吐き出せずに意識障害を起こしたり、窒息したりしてしまうことがあるのです。

また「誤嚥」を放置しておくと、食べ物が肺に入ってしまうこともあり、その結果肺炎を引き起こすこともあります。
高齢者が誤嚥性の肺炎を繰り返すと、生命に関わることもあるので、特に注意が必要です。

早めに気づくことが大切

家族に「嚥下障害」がある方がいると気づいたら「誤嚥」に発展する前に病院を受診することが大事です。
不安な症状があれば放置せずに、検査を受けて予防策を取ることが「誤嚥」の予防に繋がります。

また嚥下障害は窒息の危険だけでなく、高齢者の生活にも大きな影響を与えます。
たとえば、食べることが苦になって栄養不良になると、だんだん体が弱ってしまいます。
そして、むせるのが怖いからと飲むのを拒んでしまい、自然と脱水症状を引き起こして、最悪の場合は命にも関わってくることもあるのです。

むせさせないことや窒息させないことにばかり気をつけるのではなく、高齢者が飲食を楽しめるように配慮して、早めの治療を開始することがとても重要なのです。

チェックをしてみよう

「嚥下障害かな？」と思うようなことがあったら、高齢者の様子をよく観察してチェックをしてみましょう。

自己チェックのポイント

• 食べて飲んでもよくむせる
• 最近急にむせることが増えてきた
• 食べ物が喉につかえると訴える
• 食べ物をお茶などで飲み込んでいる
• むせそうな食べ物を避ける
• 食後に声が枯れる
• 食後も口の中に食べ物が残っている

このようなことが増えてきたら、一度「嚥下障害」を疑って病院を受診してみましょう。早期に発見すればそれだけリスクを減らすことができます。

嚥下障害を防ぐには？

普段の生活でちょっとしたことに気をつけてあげると、嚥下障害を防ぐことができます。

• ゆっくり食べるように促す
• 固いものは小さめに切って出す
• 正しい姿勢で食べる
• 一度にたくさんの食べ物を口に入れない
• テレビを観ながら食べるのをやめて食事に集中する

高齢者の飲み込む力を回復させるのは難しいので、食べ物の側面からむせてしまう原因を取り除いてあげるといいでしょう。

ちょっとした気遣いが大切

嚥下障害の原因は「加齢」によるものであるため、完全に回復させることが難しいのが事実です。
だからこそ家族が気づいて手を差し伸べてあげる必要性があるのです。
そのちょっとした気遣いが、家族みんなで楽しく食事をする時間に繋がっていくことでしょう。