今回のテーマは「要介護5のデイサービス利用例」です。

どのように利用されているかリアルな事例や費用について永井さんにお話しいただきます。

要介護5のデイサービス利用者の割合と特徴

髙橋）要介護5になると、デイサービスに通っている方って少なくなるんじゃないんですか？

永井）そうですね、私のデイサービスでは要介護5の利用者は全体の6.9％ほどです。要介護5で在宅生活を続けている方は、ご本人や家族の「最期まで自宅で過ごしたい」という強い思いがある方や、施設での生活はお金がかかるので「介護費用をなるべく抑えたい」と思っている方が多いです。

髙橋）なるほど・・・。

要介護5の方のデイサービスでの過ごし方

髙橋）要介護5の方は、デイサービスでどのように過ごされていますか？

永井）食事は細かく刻んだりペースト状にしたりして、ご本人が食べやすい形にして提供します。ほとんどの方は食べるときにお手伝いが必要です。トイレは、おむつやリハパンを使う方が多く、決まった時間に声をかけてトイレに誘導します。

髙橋）お風呂はどうですか？ 

永井）着替えや体を洗うこと、湯船につかることなど、全てスタッフがお手伝いします。車椅子を使う方も多く、疲れすぎないように横になって休む時間も取るようにしています。たまに外出イベントに参加して、散歩を楽しむこともあります。

要介護5の方のデイサービス利用頻度と目的

髙橋）毎日デイサービスを利用する方が多いですか？

永井）いいえ、週3日ぐらいの方が多いです。他の日は訪問ヘルパー・訪問看護やショートステイを利用されています。

デイサービスを利用する方は、寝たきりではなく、座って過ごせる方が多いです。日中、一人で家にいるとベッドから落ちてしまって戻れなくなったり、転んでケガをする危険もあるので、安全のために利用されています。 

実際の事例紹介（2例）

髙橋）具体的な事例を教えていただけますか？ 

永井）はい。まず、90歳の男性で娘さんと一緒に住んでいる方のケースです。 週3回デイサービスを利用し、週1回朝・昼・夕と一日3回ヘルパーさんが来てお手伝い、週1回は訪問看護と一日3回の訪問ヘルパーを組み合わせています。土日は家族が対応し、緊急時には自費でヘルパーをお願いしたり、ショートステイを利用しています。 

髙橋）「最期まで自宅で過ごしたい」という気持ちを叶えるための工夫がされていますね。

永井）そうですね。もう一つの事例は85歳の女性で、旦那様と二人暮らしの方です。 週4回宿泊できるタイプの小規模デイサービスを利用し、週2回は費用を少し抑えられる通常のデイサービスを利用しています。必要なときはショートステイも使いながら、できるだけ介護費用を抑えて自宅での介護を続けています。

髙橋）介護費用の負担を考えながら工夫しているんですね。

介護費用

髙橋）要介護5の方のデイサービスの利用料はいくらぐらいですか？

永井）私のデイサービスで要介護5の方が1日7時間利用した場合、入浴・食費込みで、一割負担の方で約2,000円です。週3回利用して、1ヶ月で約24,000円になります。

そのほかに訪問ヘルパーやショートステイ、福祉用具などを全部入れると、最終的には、要介護5の介護保険の支給限度額いっぱいサービスを使っている方が多いです。

髙橋）要介護5になると、費用負担も増えていきますよね。

リアルな実態

髙橋） 自宅で介護するのと、施設での介護とどちらがいいんですかね？

永井）要介護5くらいになると、自宅での介護が厳しくなり、そろそろ施設への入所を考えようか、というご家族もいらっしゃいます。

ただ、最近の傾向として特養は、要介護3くらいの比較的自立度の高い方のほうが、入居が早く決まることが多いように思います。

例えば、先日も要介護2の方が要介護3になった途端に、すぐに入所が決まったというケースがありました。施設の介護職員の数も限られているため、介助量が多い方ばかりになってしまうと、十分なケアが行き届かないという現状もあるのかもしれません。

まとめ

髙橋）そうした実態を踏まえて、どこで介護をするか早めに考える必要がありそうですね。

永井）そうですね。要介護5の方を自宅で介護する場合、さまざまな介護サービスを組み合わせながら支えていくことになりますが、それでも家族の負担は大きいものです。そのため、費用の面なのか気持ちの面なのか、「どこで介護をするのか」は、要介護2・3くらいの段階からご家族がしっかりと考えておくことが大切です。

もし自宅での介護を続ける場合は、ケアマネジャーや各サービス事業者、医療機関のサポートを積極的に活用し、周囲と協力し合いながら進めていくことが大事になってきます。

髙橋）家族だけで抱え込まず、早い段階から専門家に相談していきましょう。

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