老人ホームご入居までの5つのステップ
施設探しから入居するまでの流れを時系列で解説。
このページをご覧いただくだけで、入居までのステップを把握することができ、
安心して老人ホームを選ぶことができますよ。
STEP1希望条件の整理
老人ホームと一口にいってもサービス内容や特徴、対象としている入居者像は施設によって異なります。そのため、安易に入居を決めてしまうと入居後に希望していたサービスを受けられず、毎日の生活に不自由さを感じてしまうもしれません。
大切なのは施設選びをする際に、入居する本人が希望するサービスや生活に必要な条件を整理することです。
現在の生活スタイルの中から本人にとって、どのようなサービスやケアが必要なのかをじっくりと検討してみましょう。
主に次の5つを軸にして考えるとスムーズです。
必要となる介護サービスの量と内容
まずは必要となる介護サービスの量と内容を確認しましょう。
ホームへの入居希望者の中には、すでに何かしらの介護サービスを利用している人がいるかもしれません。入居後も安心した生活を送るためには、いつも利用しているような介護サービスを引き続き利用できるかどうかを見極める必要があります。
施設によって介護サービスの提供方法や、対応できる介護状態はそれぞれ異なります。
入居する本人にとって、どのような介護サービスが必要なのかを整理してみましょう。
必要な医療サービス
医療サービスも施設選びで欠かせない条件の1つです。特に胃ろうやたん吸引、インスリン注射などの医療行為を必要とするケースでは、それらの医療行為に対応できる施設でなければ入居はできません。
また入居に伴って転院する場合、施設から通える範囲に自分の疾患に対応可能な医療機関があるかどうか確認する必要もあるでしょう。
施設によっては医療機関と連携をして、訪問診療に対応しているところもあります。
立地
3つ目は施設の立地です。
これまで長く住んでいた地域に住み続けたいのか、それとも遠く離れた場所にいる子どもの近くで住みたいのかによって、入居する施設が変わってきます。
また、長く生活することになる場所だからこそ、周辺環境にも目を向ける必要があります。積極的に外出をしてアクティブに過ごすなら、交通の便が良い場所や繁華街の近くが良いでしょう。反対に施設周辺でのんびりと過ごしたいのであれば、自然に囲まれた場所や閑静な雰囲気の住宅街にある施設がおすすめです。
日常生活の中で困っていることや不自由さを感じること
日常生活の中で困っていることや不自由さを感じていること、そして施設に求めるものをピックアップしてみましょう。
例として「周りに親しい友達がいないので新しい友達を作りたい」「運動不足なので定期的にリハビリや運動をしたい」「持病があるので夜間も含めた見守りをしてもらいたい」などが挙げられます。
現在の生活の中で困っていることや不自由さを感じている観点から、施設に求めるものを考えてみるとスムーズに希望条件を整理することができます。
生活の中で譲れないもの
最後は生活の中で譲れないものを考えてみましょう。
「食事内容にこだわった施設で暮らしたい」「ミニキッチンや専用浴室がある部屋で生活を楽しみたい」など、希望する生活スタイルは入居者によって異なります。
希望する条件をすべて満たす施設を見つけるのは簡単なことではありません。たくさんある条件の中から譲れないものに優先順位を付けると、施設探しがスムーズになるでしょう。
STEP2予算、条件を考える
希望条件を整理した後は予算を考えましょう。老人ホームへ入居して生活を送っていくためには、ある程度のまとまった費用が必要です。必要となる金額は施設によって大きく差があるため、毎月の年金や貯金の中から、どのくらいの金額なら払えるのかをイメージしてみましょう。
一般的に老人ホームで必要となる費用は「入居一時金」と「月額利用料」の2つです。入居一時金は前払い家賃の意味を持ち、入居時にまとまった金額を支払います。また、最近は入居一時金0円としている施設も多くなってきました。
ただし、入居一時金を払うと月額利用料が安くなるのが一般的。そのため長期にわたって入居する場合は、入居一時金を支払った方がトータルで費用を抑えられる傾向にあります。
月額利用料は、毎月施設に支払う居室の家賃や食費、光熱費や施設管理費などのことです。これらのほかに、介護サービスを提供する施設の場合は介護サービス費などもかかります。また通院する際の医療費や薬代、介護用品費や交通費、娯楽費などは原則として自己負担となるので、毎月無理なく支払える予算を設定してください。
ただし、予算ギリギリの範囲で施設を選んでしまうと、急な入院などに対応できなくなる可能性もあります。ある程度の予備費も確保できる範囲で入居できる施設を選ぶと良いでしょう。
STEP3見学・申込み
気になる施設をいくつか比較検討し、さらに希望する施設を絞り込んだら、実際に足を運んで見学をしてみましょう。
「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、パンフレットやホームページ上の情報だけではわからないことも施設見学によって見えてきます。
しかし、きちんと準備しないで見学をしてしまうと、「リハビリの様子を見てなかった」「費用についてスタッフに質問するのを忘れてしまった」などの見落としが生じるかもしれません。
後悔しないように、あらかじめ確認しておきたいことや質問したいことをメモにまとめておくと良いでしょう。わからないことや少しでも疑問に思ったことは担当者に質問するようにしましょう。
また、老人ホームは多くの人にとって長期間生活することになる場所となります。入居した後に「イメージしていた生活と違った」というようなギャップを防ぎ、安心した生活を送るためには見学の段階でしっかり疑問を解消しておくことが大切です。
さらに見学する時間帯は、特に施設生活の中で見たいシーンに合わせると効果的。食事やレクリエーション、入浴など、特にチェックしたいシーンに合わせて見学時間を調整してもらうのがおすすめです。
施設選びで重要視する項目は人それぞれですが、一般的にチェックしてほしいポイントは次のようになっています。
- 居室や収納スペースの広さ
- ミニキッチンやトイレなどの設備
- 食堂やリビングなどの共有スペースの広さ
- 居心地の良さ
- 浴室やトイレなどの清掃状況
- 食事のメニュー
- レクリエーションやイベントの内容や開催時期
- 既存の入居者の表情
- スタッフの対応
施設を見学した後、「この施設に入居したい」と思えるところが見つかったら入居の申込みをします。しかし、申込みといってもこの時点では仮押さえの状態です。
仮押さえできる期間は施設によっても異なりますが、大抵は1ヶ月程度になります。その間に必要となる書類をそろえたり、入居に向けた面談を受けたりしなければいけません。
また、施設によっては体験入居を申込みの条件としているところもあります。体験入居ができる場合、たとえ申込みの条件でなかったとしても積極的に利用しましょう。食事や入浴といった実際のサービスを受けながら、本当に自分に合った施設なのかどうかをチェックできます。
なお、体験入居期間は一般的に1泊2日から1週間ほど。長い施設では1ヶ月ほど体験できるところもあります。費用の目安は1泊2日で3,000円~20,000円ほどになっています。
STEP4ご契約
申込みに必要な書類を提出し、施設担当者との面談が終わった後は、施設内で入居審査が実施されます。入居を希望する本人の身体状況や必要とする介護サービスの状況、医療依存度や経済状態、身元保証人の情報などから総合的に入居可能かどうかを判断するものです。
入居審査の結果、入居可能となったら契約に進みます。施設側から入居契約書や重要事項説明書といった書類に基づいて、契約やサービスに関する説明があるでしょう。
重要事項説明書にはしっかり目を通すことが大切です。提供されるサービス内容や細かい料金、連携している医療機関や連携内容、退去要件などが詳細に記載されています。
入居契約書や重要事項説明書でわからない点があれば、その場で質問して解決するようにしましょう。きちんと理解できていない状態で契約をしてしまうと、入居後のトラブルを引き起こしかねません。特に費用に関することは明確にしておき、月額利用料に含まれるものと含まれないもの、自己負担となるものなどはっきりさせておきましょう。
契約時に必要となる主な書類は以下のとおりですが、詳細は施設ごとに異なるため、事前にチェックしておきましょう。
- 実印
- 印鑑証明(発行3ヶ月以内)
- 連帯保証人や身元引受人の印鑑
- 連帯保証人や身元引受人の印鑑証明(施設による)
- 戸籍謄本
- 住民票(発行3ヶ月以内)
- 健康診断書
- 診療情報提供書
- 介護保険被保険者証
- 後期高齢者医療被保険者証または健康保険被保険者証
また、身元保証人も実印や住民票、印鑑証明などが必要となるため、事前に準備しておくことをおすすめします。
STEP5ご入居と新しい生活
契約が無事に終わった後は、いよいよ入居です。
スムーズに入居できるよう、きちんと計画を立てて進めていきましょう。
各種手続きを行う
住民票の移動や郵便物の転送、電気・ガス・水道といった公共サービスの解約など、事務的な手続きを行います。どれも重要な手続きであるため、忘れずに済ませておきましょう。
引越日・入居日の調整を行う
施設と相談しながら、入居日を決定しますが、仮に入院先から引越しをする場合、入院先との退院調整も必要です。また、施設到着は忙しくなる食事時間帯を外すようにしましょう。午前中なら10時ごろ、午後なら14時ごろが受け入れる施設にとっても都合が良いはずです。
また、荷物が少ない場合は個人でも引越しができますが、大型家具や持ち込む私物が多い場合は引越し業者を利用するのがおすすめです。業者によって具体的な金額は異なるため、いくつかの業者に見積もりを取って比較検討すると良いでしょう。
一般的に3月は入学や入社、異動シーズンのため、引越し料金は比較的高くなります。また予約自体も取りにくくなるため、春に引越しをする際は早め早めの行動を意識しましょう。
居室の家具レイアウト作成する
居室の広さはおおむね13㎡から30㎡程度です。介護用ベッドを入れると大きな家具は持ち込めないので、あらかじめ配置されている設備や物品などを確認しておきましょう。なお、小型の冷蔵庫やテレビなどの家電を持ち込むと快適に過ごすことができます。
また、収納が足りない場合は小さなタンスを持ち込んでみるのも良いでしょう。最近は衣類を季節ごとに入れ替えてくれる業者もあり、定期的に利用する方も少なくありません。
ご入居時に必要なものを準備する
引越しをする際に施設へ持ち込むものを準備しましょう。施設によっては家具が備え付けられているところもありますが、人によっては収納などが足りなくなることも考えられます。テレビや冷蔵庫、タンスやテーブル、防炎仕様のカーテンといった生活に必要となる家具をピックアップしてそろえてください。
また居室面積が広くない場合、家具を置いただけでスペースがいっぱいになる可能性もあるので、部屋の間取りやサイズを事前に測っておき、無理なく配置できるように気を付けましょう。
なお、家具以外では衣類やタオル類、室内履きや洗面用具、薬などが必要になります。持ち込んだものには名前を書いておき、紛失しないように工夫をすることが重要です。トラブル防止のために、特に衣類には名前を書いておきましょう。
荷物整理・不用品処分を行う
荷物整理をしていく中で、処分を必要とする不用品も出てくることでしょう。どのくらいの不用品があるのかは個人差がありますが、不用品の量が多いと短期間で処分するのが難しい場合もあります。
できれば老人ホームへの入居を検討している段階から、少しずつ整理・処分を進めていくのが理想です。処分する方法には業者への処分依頼やリサイクル、トランクルームの利用などもあります。
- 老人ホームご入居までの5つのステップ