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「ロイヤル入居相談室 上席執行役員」谷本 有香

 証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事。これまでトニー・ブレア元英首相、ハワード・シュルツ スターバックス元CEOなど、世界の3000人を超えるVIPにインタビューしてきた。
Forbes JAPAN副編集長 兼 WEB編集長
跡見学園女子大学マネジメント学部兼務講師としても活躍中
2017年3月 ロイヤル入居相談室 上席執行役員に就任。

「妙心寺 退蔵院 副住職」 松山 大耕

 2003年東京大学大学院修了。
埼玉県新座市・平林寺にて修行後、2007年より退蔵院副住職。
2009年5月、観光庁Visit Japan大使。
2011年、日本の禅宗を代表してヴァチカンにて前ローマ教皇に謁見。
2014年、日本の若手宗教家を代表して
ダライ・ラマ14世と会談、ダボス会議出席。

超高齢社会への向き合い方 ~「老い」ではなく「熟練」~


取材協力:シェラトン都ホテル東京

谷本有香(以下、谷本):世界で「禅」がブームになっています。特にトップリーダーの方々が興味を持っているようです。

松山大耕(以下、松山):リーダーとして、道徳心や宗教心が高くないと人はついてきません。短期的にはお金や地位に魅力を感じても、やはり限界があります。そして、理論ではなく実践を重視する禅の教えがリーダーに志向される理由ではないでしょうか。

谷本:ひるがえって、ここ日本では世界で最も早いスピードで高齢化が進んでいます。ネガティブな文脈で語られることが多い「高齢化」ですが、「禅」という観点からはどのように理解すればよいのでしょうか。

松山:高齢化=「老い」というネガティブなイメージをもってしまいがちですが、熟練の業というのは若い人たちには成し得ないこと。決してネガティブなことばかりではありません。
 例えば、枯れた味のある墨跡は、若い私たちには絶対に書けません。不思議と人生がにじみ出るのですね。

谷本:超高齢社会によって生まれる諸問題についてどう解釈されているのですか。

松山:大変難しい問題ですね。例えば、認知症や脳死など生命についての問題があります。仏教における生命の定義にも宗派によっていろいろな立場があります。しかし、基本的には仏教の生命観では「呼吸・体温・識」と言われ、特にこの「識」がポイントです。意識よりも深い、輪廻転生する主体といいますか、「無意識を含んだ識」ということです。
 原理原則的にいうと、「識」は意識ではないので、仏教界で脳死は認められない。しかし、社会の変化の中でだんだん「識」が「意識」という方向へ基準が移動しており、最近は臓器移植も認められる傾向にあります。

「知足」〜足るを知る〜の中に幸せがある

谷本:人生を満足して締めくくるために、必要なことはありますか。

松山:幸せはfun(楽しみ)ではなくjoy(喜び)だと考えたらよいのではないでしょうか。基本的に喜びは人から与えてもらうものです。喜ばれると、こちらも嬉しくなりますよね。そして、喜びを得るためには自らの「献身」が必要なのです。
 あとは本当に深い意味での「知足」。「足るを知る」という中に幸せがあるのではないでしょうか。そして、究極的には、自分で「納得できる人生」であったかということに尽きると思います。
 少し話がずれますが、最近「夢を叶えること」や「目標を達成すること」は果たして幸せなのかと考えています。例えば、アスリートが学校で授業をする際、たいてい「夢は見るものではない、叶えるものだ」と発言します。
 確かに、目標を達成したり、夢を叶えることはある程度必要だし、エキサイティングだと思います。けれど、「エキサイティングであること」と「幸せ」は違う。実際、世界大会のメダリストをみても、そのときは良くても人生トータルとして幸せそうな人生だなと思える人は何人いるでしょうか?「喜び」には「献身」が必要であるのと同じく、「エキサイティング」であることにはどうしても「不安」が付きまとうのです。目標や数値の達成だけ目指していても、そこに本当の意味での充実感や幸せはありません。

自分たちにできる布施は、誰かを気にかけること

谷本:弊社も取り組んでいる、これからの子育て支援、高齢者支援、障がい者支援について、どのようなことが重要だと思われますか。

松山:マザー・テレサは「愛の対義語は憎しみではない、無関心だ」とおっしゃいました。まさにその通りで、誰からも何とも思われていないことは一番辛いこと。自分たちにできる一番身近な布施は、まず誰かを気にかけることです。
 どのような立場でも、誰かを心に思うこと、気にかけることが最初の一歩になります。本当に誰かを思う気持ちがあれば、おのずと行動に移るはずなのです。

命を寿(ことほ)ぐ 〜締めくくり方〜

谷本:人生の締めくくり方ということを「禅」ではどう捉えているのですか。

松山:知り合いのお医者様が患者を看取る際、不思議なことに孤独死と言われて亡くなった方のほうが穏やかな死に顔をされている割合が高いとおっしゃっていました。つまり、人の死に方はそれぞれで、大切なのは、孤独死というものが「場所の問題」ではなく、「心の問題」だということ。一人で亡くなったとしても、普段から近所付き合いがあったり、家族に愛されていた人であれば寂しくないかもしれない。逆に病院にいても孤独を感じている人もおられると思います。
 先日、京都大学の山極総長と対談したとき、「人間の定義は宗教を持っていることだ」とおっしゃいました。
 すべての生物で将来自分が死ぬことを知っているのは人間だけ。死ぬことを理解しているから逆算して不安が生まれる。その不安を解消するために存在するのが宗教だというのです。
 お釈迦様の教えに「四苦(生老病死)」というものがあります。人類永遠のテーマですが、私は最近この四つの苦のバランスが変化していると感じています。先日、あるお医者様が「この薬を飲まないと死にますよ」と言っても飲まないが、「この薬を飲まないとボケますよ」と言うと、だいたい皆さん飲むとおっしゃいました。つまり、「死」よりも「老い」を苦しみと考える方が増えているということですね。
 「ライフエクスペクタンシー(平均余命)」という概念ではなく、「命を寿(ことほ)ぐ」というのが本来、寿命だと思うのですが、現代は寿ぐことができなくなっています。これまでの医療は病気を治すことが目的でしたが、今後は「見守る」スタンスの医療も大切になっていくのではないでしょうか。
 不死身の命はありえないのですし、自分が納得した締めくくり方として、無理せず死を迎えるということは、いまの医療界でも政治の世界でも議論を起こすのは難しい。だからこそ宗教界から提案すべきだと思っています。

谷本:人生を送るうえで、より心が安らげるために、我々が気をつけることやヒントがあれば教えてください。

松山:皆さん、死を遠ざけすぎているのではないでしょうか。怖いから直視しないというのはよくない。いずれみんな死ぬのに、いざというときまで蔑ろにしているから不安になるのです。

谷本:では、「生」を鮮明に感じるためには、どのようなことを心がければいいのでしょうか。

松山:「今を生きる」ことです。将来のことを憂いたり、過去を引きずっている状態では難しい。現代は心ここにあらずの人が多いと感じます。目の前にあるものに集中することが大事です。最近、美しい満月の夜でも「きれいな月ですね」ということが話題にならない。どんな人にも等しく目の前に満月があるのにそれに気づかない。身近なものを愛でる余裕も必要だと思います。

「献身」〜見返りを求めない支援〜

谷本:ロイヤルハウジング グループは、創業以来43年、joyの裏側にある「献身」〜見返りを求めない支援〜を信念として、高齢者、障がいのある方、子育て世帯の方を支援するサービスに力を入れております。
 今、人生100年時代と言われ、世界一の超高齢社会である日本はケーススタディとしてこれからの動向が注目されています。私たちは「住まい」を通じて地域社会に貢献し、多くの方たちに活き活きと、幸せな人生を送っていただけるよう、務めを果たしてまいります。